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速報(JS-Weekly)

特別養護老人ホームにおける「緊急時対応」方法見直しの手引き

#特別養護老人ホームにおけるサービス提供のあり方に関する調査研究事業

▶新たな基準への対応と実践手引きの活用で、医療連携の質を高める

 厚生労働省は6月13日、「特別養護老人ホームにおけるサービス提供のあり方に関する調査研究事業(令和6年度老人保健健康増進等事業)」の報告書及び手引きを公開した。これは、令和6年度の介護報酬改定に伴い見直された「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」への実務対応を支援するものである。

 改正内容の柱は3点に集約される。

 ①医師または看護職員による相談対応体制の常時確保。

 ②診療対応が可能な体制の常時整備。

 ③入院を要する入所者を原則として受け入れることができる協力医療機関の確保。

 これらの義務化に際しては3年の経過措置期間が設けられ、施設側の段階的な対応が求められている。

 また、施設内での緊急対応体制についても、少なくとも年1回の見直しと必要に応じた修正が義務づけられた。これは形式的なルール整備にとどまらず、現場の運用実態に即した柔軟かつ実効的な対応の構築を意図している。

 今回公表された手引き「介護老人福祉施設における緊急時等の対応方法の検討・作成及び見直しの手引き」では、施設ごとに想定される緊急時のケースに応じた対応マニュアル作成の要点が示されている。具体的には、医療連携のフロー、役割分担、協力医療機関との連携体制構築、入院搬送時の対応記録整備など、実務上の課題を整理し、施設ごとの実情に即した設計を可能にしている。

 特に注目されるのは、診療体制や医療連携の「常時確保」が単に人員配置の問題ではなく、地域の医療資源との連携構築を前提とする点である。実際、報告書では、医師の診療応需体制や看護職との連絡手段、協力医療機関の入院受け入れ可否、夜間・休日対応のルール整備といった、現場で見過ごされがちな実務ポイントが網羅的に提示されている。

 なお、当該報告書及び手引きは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのホームページにて公開されている。

(参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/001503715.pdf