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2024年度介護報酬改定に関する調査結果
#2024年度介護報酬改定 #実態 #課題
令和6年度の介護報酬改定を受け、独立行政法人福祉医療機構(WAM)は、全国の介護事業者を対象にアンケート調査を実施した。調査の目的は、改定後の現場における実態を把握し、課題を明らかにすることであった。
・調査概要
・対象: 介護保険法に基づくサービスを提供する6,636法人。
・回答数: 1,673法人(回答率25.2%)。
・実施期間: 2024年7月19日~8月20日。
・方法: Webアンケート形式。
・主な調査結果
1.訪問介護
・42.6%の事業所でサービス収益が減少している。その原因として32.3%が「利用者単価の低下」を挙げている。
2.介護老人保健施設
・医療機関との連携体制を7割以上の施設が整備しており、未着手の施設は1割未満である。
3.通所リハビリテーション
・新設された「リハビリテーションマネジメント加算(ハ)」の算定率は11.5%と低調である。
4.介護医療院
・「科学的介護推進体制加算」の見直しに対し、3割の事業所が「入力負担の軽減を感じない」と回答している。
5.認知症高齢者グループホーム
・「認知症チームケア推進加算」の算定率は低水準であるが、3割が「今後算定予定」と回答している。
6.小規模多機能型居宅介護
・総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)は65.2%の事業所が算定しており、地域資源を活用した支援が進んでいる。
令和6年度の介護報酬改定を受けた現場の実態調査では、サービス収益の変化や新たな加算制度の算定状況を通じて、介護現場が直面する課題と今後の展望が浮き彫りとなった。
事業所の多くが基本報酬引き下げや利用者単価の低下による収益減少に直面しており、特に訪問介護事業は、適正な人件費配分を維持しながら収益を確保するために、以下のような対応が期待される。
・新加算の積極的な算定:現在算定率の低い加算制度を浸透させ、適用を拡大することで収益を補う努力が求められる。
・地域連携の強化:地域資源を活用し、複数の事業所や医療機関と連携して効率的なケア体制を構築する必要がある。
介護現場の課題解決には政策的支援が不可欠であり、特に以下の点に重点を置く必要がある。
・事務負担の軽減:科学的介護推進体制加算の入力負担軽減が課題として浮上しており、ICTツールの導入や研修の充実が重要である。
・職員確保とスキル向上:専門職員の確保と育成が各種加算の算定に直結しており、人材開発のための具体的な支援策が必要である。
・中小規模事業所への配慮:小規模事業所が新加算に対応するためのサポート体制を拡充し、全体 的な介護サービスの質向上を目指すべきである。
(参考資料:https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/241227_No008.pdf)
(参考資料:https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/241227_No008.detail.pdf)