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2050年の高齢者、認知症587万人・MCI631万人に
#認知症587万人 #MCI631万人 #認知症施策推進関係会議
九州大学を中心とした研究班は5月8日、2050年の高齢者のうち、587万人が認知症に、631万人が軽度認知障害(MCI)になるとの最新の推計を発表した。この推計は厚生労働省の補助金事業として実施され、政府の「認知症施策推進関係会議」に報告された。
研究班は、石川県旧中島町、島根県海士町、愛媛県旧中山町、福岡県久山町の4地域で住民の悉皆調査を実施。医師による診断を基に、認知症とMCIの高齢者数と有病率を調べ、全国の性別・年齢別人口に当てはめて推計値を算出した。
推計によると高齢者のうち、認知症の人は2025年に472万人(有病率12.9%)、2030年に523万人(14.2%)、2040年に584万人(14.9%)、2050年に587万人(15.1%)、2060年に645万人(17.7%)と、人数・有病率ともに上昇傾向にある。一方、MCIの人は2025年に564万人(15.4%)、2030年に593万人(16.0%)、2040年に613万人(15.6%)、2050年に631万人(16.2%)、2060年に632万人(17.4%)と推移する。
興味深いことに、認知症の有病率は、2012年の15.0%から2022年には12.3%に低下している。二宮利治教授(九州大学・衛生・公衆衛生学分野)は、「喫煙率の低下や、生活習慣・健康意識の改善で、認知機能低下の進行が抑制された可能性がある」と分析している。
今回の推計は2014年度に実施された推計と比べ、2050年の認知症高齢者数が大幅に減少している。当時の推計では、2050年の認知症高齢者数は797万人と見込まれていたが、今回の推計では210万人も少ない587万人となった。
しかし高齢化の進展に伴い、認知症やMCIの人数は増加傾向にあることが示された。研究班は今後も継続的な調査と分析が必要だと指摘している。
5月8日の認知症施策推進関係者会議では、この推計結果を基に、医療・保健・福祉関係者らへのヒアリングも行われた。政府は、認知症対策の更なる推進に向けて、これらの意見を踏まえた施策の検討を進めていく方針だ。
参考資料: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ninchisho_kankeisha/dai2/gijisidai.html