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〈日本総合研究所〉
令和5年の出生数、72万6000人で過去最少となる見通し
JS-Weekly No.916
#人口動態統計 #出生数 #合計特殊出生率
コロナ禍で婚姻数が減少したことが、出生数の大幅な減少に
日本総合研究所(以下、日本総研)は2月14日、厚生労働省が公表している人口動態統計(令和5年1月から9月まで)を基に、去年1年間の出生数を推計。国が統計を取り始めた明治32年以降、最も少ない72万6000人となる見通し。前年比5.8%減で、令和元年に並ぶ最大の減少率となる公算。
合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子供の数の指標)は、過去最低であった令和4年の1.26を下回ることは確実で、1.20前後になる見通し。
また婚姻数は、令和4年は3年ぶりに増加に転じて50万4930組であったが、去年は47万6000組(前年比5.8%減)と推計し、減少に転じる見込み。
推計を行った日本総研の藤波匠上席主任研究員は「コロナ禍で雇用が不安定になり結婚を諦めたり先延ばしにしたことで婚姻数が減少したことが、2、3年たった今、出生数に影響を与えている。働く女性が増える中、女性の家事負担は変わらず、出産を控える人も増えているのではないか」と分析。その上で「女性の方が賃金が低く、非正規が多いと、男性が長く企業で働いた方が得られる賃金も多くなるので、結局は女性が引き受ける家庭の負担は変わらない。子供を増やすためには、男女平等に働き家庭も支えていくという発想が必要で、企業による環境づくりも重要だと思う」と話している。
少子化対策は待ったなしの瀬戸際。前例のない規模で対策強化に取り組む
林芳正官房長官は同日午後の記者会見で「若年人口が急激に減少する令和12年代に入るまでのこれからの6年程度が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスで、対策は待ったなしの瀬戸際にある」と危機感を募らせた。
その上で「若い世代の所得を増やすことなどを柱に据えて、前例のない規模で対策の強化に取り組んでいきたい。合わせて社会全体で子供や子育て世帯を応援する機運を高める取り組みも重要であり、車の両輪として進めていきたい」と意気込んだ。