最新情報

速報(JS-Weekly)

〈厚生労働省〉

技能実習生の失踪、令和3年は7167人に 厚労省、初の実態調査に乗り出す

JS-Weekly No.862

#技能実習制度 #送り出し機関

技能実習生、低賃金などを理由に失踪。送り出し機関への多額の借金が要因か

 厚生労働省は今年度、日本に派遣される外国人技能実習生の送り出し機関(16か国計約2300団体)に対し、初の現地調査に乗り出すことが分かった。少子化による人手不足を解消するため、実習生の高額な費用負担や人権侵害の実態を調べ、実習生への不当な扱いを是正することが狙いだ。

 技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本に受け入れ、さまざまな技能を学んでもらう制度である。令和3年10月時点で約35万人が働いているが、低賃金などを理由に失踪するケースが多発し、令和3年には失踪者は7167人に上った。政府は、実習生が抱える多額の借金が失踪の要因の一つとみている。

 出入国在留管理庁が令和3〜4年に行った聞き取り調査(実習生約2180人)では、実習生が現地の送り出し機関などに支払った費用は平均約54万円に上り、半数超が来日前に借金をしていた。費用の名目は仲介業者への紹介料や日本語の事前教育費などだが、「不明」と回答した実習生もおり、厚労省は実態を解明するには現地調査が必要と判断した。

 令和5年度の調査は、実習生の多いベトナムや中国などが中心。送り出し機関などに対し、実習生から徴収する費用の内訳を聞き取るほか、受け入れ業務を担う日本の監理団体との金銭のやりとりも調べる。また、国内の監理団体や実習先の企業、実習生にも聞き取りを行い、送り出し機関との金銭のやりとりや人権侵害の実態(実習生に対するパワハラや残業代未払い、不当解雇など)についても調べる。

 調査は、国内は民間調査会社に委託し、海外は在外公館などの協力を得て進める。送り出し機関による不当な費用徴収が判明した場合は、相手国との2国間協議の場で是正を求める。