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〈認知症〉
「レカネマブ」アルツハイマー病の新治療薬について臨床試験での有効性を発表
JS-Weekly No.858
#レカネマブ #アルツハイマー病治療薬 #承認申請
認知機能の低下やアミロイドβの蓄積を抑制する効果を確認
エーザイ株式会社は11月30日、米国の製薬会社バイオジェン・インク(以下、バイオジェン)と共同で開発を進めてきた、アルツハイマー病の治療薬「レカネマブ」の臨床試験についての論文が、医学の査読学術専門誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されたことを発表した。
これまでの治療薬は症状の悪化を遅らせるものだったのに対し、レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされているアミロイドβが固着する前の段階で取り除き、病気の進行自体を遅らせるというもの。臨床試験では、使用開始6か月で認知機能の低下抑制に効果が見られ、18か月ではおよそ27%抑えられた(プラセボ投与群との比較)。また、アミロイドβの量についても大幅な減少が見られた。これらの結果についてエーザイとバイオジェンは、「統計学的に高度に有意」とし、日本、米国、EUで年度内の承認申請を予定している。
米国では、7月に米国食品医薬品局に迅速承認制度に基づくレカネマブの生物製剤ライセンス申請をし、優先審査の指定を受け、審査終了目標日が2023年1月6日と定められている。日本においても3月に、医薬品医療機器総合機構に、医薬品事前評価相談制度を活用して今回発表した臨床試験結果以外のデータを提出している。エーザイは、今回の発表内容に基づいて、本年度中の米国でのフル承認申請と日本ならびに欧州での販売承認申請を目指している。
レカネマブは、神経細胞を再生させることはできないが、軽度認知障害やアルツハイマー病でも早期に使用すれば、進行を遅らせることができる。認知機能を長く維持することができ、当事者や家族の生活の質の向上への貢献が期待される。
抗凝固薬との併用にリスクも
エーザイは同じく11月30日、脳梗塞の治療などに使われる抗凝固薬との併用によって、脳出血の発症リスクが上がることが分かったと、記者会見で明らかにした。同社は併用する参加者にはリスクを説明した上で、利益が上回ると判断した場合に投与を継続している。