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関係7団体と連名で厚生労働省に要望書を提出 軽度者へのサービスを総合事業に移行する見直しに反対 ほか
2022.11 老施協 MONTHLY
関係7団体と連名で厚生労働省に要望書を提出
軽度者へのサービスを総合事業に移行する見直しに反対
POINT
- サービスの質・量の低下によって、そのしわ寄せは家族介護の負担増に
- 現行の地域支援事業の拡充と、サービスの質の効果検証が必要
全国老施協は10月21日、関係7団体との連名による要望書「軽度者への生活援助サービス等に関する在り方について(要望)」を、大西証史老健局長に提出した。
要望書では、要介護度1、2の方の訪問介護、通所介護を総合事業へ移行した場合について、次のような重大な問題があるとして反対している。
- 適切な専門的サービスが提供されないことにより、自立を阻害、重度化を招く恐れがある
- 総合事業のサービス単価が抑えられることで、地域におけるサービスの担い手が減る可能性がある
- 家族の負担が増して介護離職等の問題につながり、地域包括ケアシステムとは逆の結果を招く恐れがある
- 現行の地域支援事業の拡充が先決であり、現状では受け皿ができていない
「JS次世代委員会」で次世代の育成に重点を置いた活動と全国的なネットワークづくりにまい進
POINT
- 「JS次世代委員会」への改称について諸規程を整備
- 元役員に対する裁判については進行状況を確認
全国老施協は10月6日、第85回理事会を開催した。理事総数25名に対し、出席21名で定足数(過半数)に達し成立。2つの議案について審議を行った。
第1号議案:元役員に対する裁判について
平成29年に発覚した不適正支出に係る元役員に対する損害賠償請求訴訟についてこれまでの経過報告とともに、今後の方向性について意見交換が行われた。
第2号議案:諸規程の変更について
令和5年度より、21世紀委員会を改称し「JS次世代委員会」とすることに伴う諸規程の変更案が提出され、承認された。令和2年度から全国老施協の活動目的の明確化と活動内容の見直しを目指してきた21世紀委員会。今回の改称は、その集大成として、次世代のリーダーの育成や全国的なネットワークづくりという目標を再確認することを踏まえて行われる。担当の小泉立志副会長は、コロナ禍における最新のビジネスコミュニケーションツール(オンライン会議やホワイトボードアプリなど)を使用したバーチャル型の研修会の取り組みなど、若手管理者の育成やネットワーク形成に重点を移した事業内容の実例を紹介。今後、改称の趣旨や目的、具体的な事業内容の変更点を分かりやすく整理していくと説明し、合意を得た。
第7回正副会長・委員長会議(拡大)を開催
特別養護老人ホーム等の経営状況の講演も
POINT
- 軽度者の生活援助サービス等に関する厚労省への要望書の提出を報告
- 特別養護老人ホーム等の経営状況と今後の課題について考える
全国老施協は10月19日、「第7回正副会長・委員長会議(拡大)」をテレビ会議で開催した。平石朗会長は冒頭のあいさつで、10月に入り新型コロナウイルスの感染状況が少しずつ落ち着いてきたこと、他団体の研修会でも対面での開催が増えてきたことに触れ、来年1月26〜27日開催の「第1回全国老人福祉施設大会・研究会議〜JSフェスティバルin栃木〜」にも言及。「感染対策に十分配慮して開催する形になっておりますので、ぜひとも参加していただきたい」と呼び掛けた。
また、要介護度1、2の人の総合事業への移行について反対する内容の要望書については、若干文言を修正の上、10月21日に厚労省宛てに会長が関係団体とともに提出する旨の報告がなされた。
同日、独立行政法人福祉医療機構の本地央明氏より、「特別養護老人ホーム等の経営状況と今後の課題」について講演が行われた。本地氏は、詳細かつ豊富なデータにより、介護事業を取り巻く環境や特別養護老人ホームの経営状況などを説明。新型コロナの感染拡大、食材や光熱費の値上がりなどもあり、特養を取り巻く厳しい環境について現状分析がなされ、小規模特養などの今後の在り方などについてもアドバイスがあった。
その後、各委員会・部会からの活動報告がされた。
介護ICTモデル事業報告書を取りまとめ
全国老施協版介護ICT導入ガイドライン作成へ
POINT
- 令和3年末から取り組んできた実証モデル事業の結果を報告
- 獲得した知見を生かし、現場で分かりやすいガイドライン作成へ
ロボット・ICT推進委員会は、「全国老施協版介護ICT実証モデル事業」の報告書を取りまとめた。
まず、事業全体の総括、介護ICT機器の導入手順として「方針策定」「選定」「導入」「活用・定着」のポイント、各機種ごとの留意事項、そしてモデル事業者の実証として「訪室のタイミングの最適化」「介護記録業務効率化/情報共有の質向上」「個別ケア推進」については、運用イメージや導入効果の検証結果を、図や数値で可視化してまとめた。8つのモデル施設については、導入による効果の検証結果だけでなく、今後期待される効果や今後の展望についてリポートした。
この事業を通じて得られた知見に基づき、「全国老施協版介護ICT導入ガイドライン」作成に着手。令和5年1月、ホームページで会員への公開を目指す。
モデル事業実証サマリの一例
中堅介護職員向け研修が好評、中堅介護職員に求められる「役割」を再確認
POINT
- 中堅介護職員に求められる「役割」とは何かを確認する研修を実施
- 自分の強みを生かし、職場で実践したい1カ月の目標とチャレンジを宣言
全国老施協主催による「令和4年度 中堅介護職員向け研修」が10月4日、オンラインで開催された。今回の研修は、株式会社リクルートHELPMAN JAPANプロジェクトと連携したプログラム。グループディスカッションやワークを中心に6つのセッション(自己紹介、役割を考える、視点を変える、期待を考える、今後に向けて、まとめ・アンケート)を通して、求められる役割を確認していくというもの。
研修内容は、ケース集を活用したグループディスカッションを行った。管理者の立場に立って、取るべき役割、問題と原因を分けて考えること、直接的な原因から順番に解決を考えること、目的共有の重要性、良いチームの4条件(風通し、信頼感、目的共有、協力意欲)などを学んでいった。
さらに、チームメンバー全員の応援メッセージも作成。その人の強み・持ち味・らしさ、今後に向けて期待したいこと・応援したいことを記載し、メンバーと交換。最後の総まとめとして、「役割拡大チャレンジシート」に、これから担いたい・広げたい役割と内容、明日から1カ月間の目標とチャレンジを記載し、グループメンバーに決意表明。今求められている役割を継続的に広げ、業務に生かしていくことを改めて確認した。
全国老施協、令和4年度事業継続等相談支援事業
第4回集団コンサル&ワークを開催
POINT
- メンバーと対話を重ねながら、経営改善までの実現ストーリーを言語化
- 自事業所の現状を再認識することが、目標共有の第一歩
全国老施協デイサービス部会は10月12日、「令和4年度デイサービス事業継続等相談支援」の第4回を開催した。同事業では、25のデイサービス事業所が、株式会社TRAPE(トラピ)の指導による全6回のコンサルティング(集団指導方式)と個別相談を経て、経営改善計画の策定から成果創出を目指す。
第1回と第2回では、外部環境や経営視点、VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)やチームの重要性、因果関係や経営指標等を理解してきた。その上で、第3回は「介護経営における因果関係図」から絞り込んだ優先課題の原因を深掘りし、メンバーが納得して取り組める経営改善までの実現ストーリーを完成させた。
第4回は、経営改善という目標の達成に向けてアクションを起こすために、経営改善までの実現ストーリーを改めて確認・整理した。また、事業所メンバーとの対話によるストーリーの言語化で、「優先テーマは何か」、「優先順位をどうするか」など、事業所内で目標を共有することができた参加者が多かった。
参加者には今回のワークを振り返りながら、次回までに最終的な経営改善までのステップを再度完成させ、実際に課題解決するための行動計画を立案してもらい、「アプローチ・行動計画の具体化」のステップに入る。
取材・文=太田瑞穂・見田裕一・早坂美佐緒(東京コア)
要望団体
全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会、日本認知症グループホーム協会、日本介護支援専門員協会、日本介護福祉士会、日本ホームヘルパー協会、全国ホームヘルパー協議会、全国社会福祉法人経営者協議会