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速報(JS-Weekly)
〈財務省〉
財務省、介護保険の負担増を改めて提言
JS-Weekly No.855
#財政制度等審議会 #介護保険制度改正 #利用者負担
財務省が介護保険の負担増に関する改革案を提示
財務省は11月7日の財政制度等審議会・財政制度分科会において、令和6年度の介護保険制度改正における次のような介護保険の負担増等に関する案を提示した。
- 利用者負担の見直し:①後期高齢者医療における患者負担割合の見直し等を踏まえ、介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ること、②現役世代との均衡の観点から現役世代並み所得(3割負担)等の判断基準を見直すこと。
- 多床室の室料負担の見直し:介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたままとなっている。これらの施設では、在宅復帰は限定的で、利用者の「生活の場」となっている。そこで、居宅と施設の公平性を確保する観点から、室料相当額を基本サービス費等から除外する見直しを行うべき。
- ケアマネジメントの利用者負担の導入:居宅介護支援(ケアマネジメント)は、要介護者等が積極的にサービスを利用できるようにする観点から、利用者負担を取らない例外的取り扱いがなされてきた。しかし、介護老人福祉施設等では、利用者負担が存在しているため、施設と在宅の間で公平性が確保されていない。そこで、ケアマネジメントの意義を認識するとともに、サービスのチェックと質の向上に資するため 、ケアマネジメントに利用者負担を導入すべき。
- 介護保険の第1号保険料負担の見直し:低所得者の負担軽減に要する公費の過度な増加を防ぐため、負担能力に応じた負担の考え方に沿って、高所得の被保険者の負担による再分配を強化すべき。
これらの案について、財政制度等審議会では前向きな意見が多く出された。
国会審議では負担増に懸念も
介護保険の利用者負担は現在、所得に応じて1割~3割となっているが、利用者のうち3割負担は4%、2割負担は5%で、1割負担が92%を占めている。この現状を前提として、10月18日の衆議院予算委員会で、岸田文雄首相は、「能力のある方には負担してもらう。そのことによって制度全体を維持していく。多くの方々の生活を支えていく。こうした結果につなげていくという考え方は重要」であるとして、利用者負担を引き上げることについて前向きに検討していく方針を表明した。
10月には一定所得以上の後期高齢者の医療費窓口負担割合が2割に引き上げられたばかりであり、介護保険制度改正の議論が年末に向け本格化する中、国会審議でも負担増に懸念の声が出ている。