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速報(JS-Weekly)

〈東京商工リサーチ〉

介護事業者の倒産が過去最多、業界再編の動きも

JS-Weekly No.854

#倒産 #業界再編 #大規模化

1月から9月までの倒産件数は過去最多、10月の倒産件数も令和2年を上回るペース

 東京商工リサーチの調査によると、令和4年1月から9月までに倒産した介護事業者は、前年同期から倍近く増え、全国で100件と過去最多になった。10月も倒産した事業者が相次ぎ、令和2年を上回るペースで推移している。

 内訳は、デイサービスなどの「通所・短期入所」が最も多く、次いで「訪問介護」や「有料老人ホーム」が多く、いずれも前年同期を上回る。また、倒産した事業者のおよそ9割を従業員20人未満の小規模事業者が占める。倒産の要因としては、ヘルパーなどの人材不足、新型コロナウイルスの感染が拡大した時期の介護サービスの利用控えによる減収、コロナ関連の国や自治体などからの事業者への支援の減少、物価や光熱費、燃料費の高騰などが考えられる。今後も、小規模事業者を中心としたさらなる倒産が懸念されている。

大規模化など業界再編の動きも加速

 財務省では、今年5月に取りまとめた建議において、介護業界の重要な課題として「業務の効率化と経営の大規模化・協働化」を提言している。この提言を受けた政府の「骨太の方針2022」でも、介護サービスの生産性向上を図るため経営の大規模化・協働化を推進し、医療とともに介護のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める旨が明記された。しかし小規模事業者では、ICT化など設備投資の負担が重く、大きな課題となっている。

 介護大手各社では、既にM&Aによる経営の大規模化が推進されているが、こうした状況を踏まえ、今後は一層この動きが加速するとみられている。