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RSV感染が肺炎球菌を増やす仕組みを解明
#RSウイルス (RSV) 感染
▶高齢者の重症肺炎の原因として注目されているウイルス
東京医科大学の研究グループは2月3日、RSウイルス (RSV) 感染が、普段は症状を起こさずに鼻の奥 (鼻咽頭) に定着している肺炎球菌を増殖させる仕組みを明らかにしたことを公表した。
RSウイルスは、乳幼児の細気管支炎や肺炎の主要な原因ウイルスであり、高齢者の重症肺炎の原因として注目されている。肺炎球菌は、多くの乳幼児や高齢者の鼻咽頭に定着している細菌で、通常は症状を引き起こさないが、RSV流行期にはこうした定着肺炎球菌が増殖・拡散することで病態が悪化している可能性が指摘されてきたものの、ウイルス感染が免疫細胞の働きをどのように変化させ、定着肺炎球菌の増殖を引き起こすのかについては、これまで十分に解明されていなかった。
しかし本研究によって、RSV感染により免疫細胞の一種であるマクロファージの性質が変化し、本来持つ細菌を抑える働きが弱まること、その背景にgrowth arrest-specific protein 6 (Gas6) というタンパク質と、その受容体AxlからなるGas6/Axl経路が関与していることを突き止めた。
通常、マクロファージは細菌を貪食・排除する重要な役割を担っているが、RSV感染下ではGas6/Axl経路が活性化し、マクロファージが細菌を十分に排除できない「低反応性」の状態に変化する。その結果、鼻咽頭に定着していた肺炎球菌が増殖しやすくなり、下気道感染や肺炎へ進展するリスクが高まることが示された。
本研究で明らかになった「RSV感染 → Gas6/Axl活性化 →マクロファージ機能低下 →定着肺炎球菌の増殖」というメカニズムは今後、ウイルス感染後に起こる細菌性肺炎の新たな治療標的の提示およびRSVワクチンや抗ウイルス戦略の重要性の再認識につながるもの。現在、肺炎球菌ワクチンは重症肺炎の予防に大きく貢献しているが、ワクチンでカバーされない血清型の増加という課題もある。
本研究結果は、RSV感染そのものを予防することが、定着肺炎球菌の異常な増殖を防ぎ、肺炎予防につながる可能性を示している。
(参考資料)
https://www.tokyo-med.ac.jp/news/3d0b5678d93a3b5cdbdd1e675fa098b8d153a0fe.pdf