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第252回 社保審・介護給付費分科会が開催される
#第252回社会保障審議会介護給付費分科会
▶小泉副会長、令和8年度介護報酬改定、地域区分について意見
厚生労働省は12月26日、第252回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。議題は以下の通り。
【議題】
1.令和8年度予算に関する「大臣折衝事項」について(報告)
2.地域区分について(報告)
本会からの委員として出席した小泉立志副会長は、以下の意見を述べた。
▶令和8年度介護報酬改定について
物価高騰や人材不足が続く非常に厳しい状況下において、介護報酬の改定率プラス2.03%の確保いただき、特に介護従事者の処遇改善に向けての幅広く1.0万円の賃上げ措置に深く御礼申し上げる。
その上で、委員として懸念を申し上げる。処遇改善の試算として『最大月1.9万円』と示されているが、『定期昇給0.2万円』が含まれている。定期昇給は本来、各事業者の裁量と経営努力によって行われるものであり、改定による公的な上乗せ分とは性質が異なる。
現在、経営環境が極めて厳しい中、全ての事業所が必ずしも例年通りの定期昇給を確約できるわけではない。こうした記載は、あたかも一律に1.9万円の支給がされるかのような誤解を与え、現場において事業者への不信感を招く恐れがある。
今後の周知や資料作成の際は、改定による純増分と事業者の努力分を明確に切り分け、実態に即した丁寧な情報発信をしていただきたい。
▶地域区分について
国家公務員の地域手当が「市町村単位の7区分」から「都道府県単位を基本とする5区分」へ改正された。しかし、これに準拠し、広域化により地域内の経済的・労働市場的な差異が平均化されることで、コスト水準の高い都市近郊部などが不利益を被り、地域差を適切に反映するという介護保険の制度趣旨との乖離を危惧している。
実態に鑑みると、都道府県単位よりも、二次医療圏や介護保険圏域といった「実際の労働市場」に即した単位による精緻な区分設定こそが、格差是正の目的に合致する。
特に懸念するのは、公務員基準に準拠すると現行から2%〜4%もの引き下げとなる地域も生じること。深刻な人手不足と物価高騰に直面する現場において、これほど急激な報酬減は事業継続を脅かしかねない。
大幅な変更の緩和する経過措置として、見直し前後の支給割合の範囲内で設定可能であり、段階的な引き下げも可能であるとされているが、この措置を「3年間の延長」に留めず、経営安定性の担保できるよう、少なくとも現行水準を維持できるような柔軟かつ強力な激変緩和を求める。
また、令和8年2月から予定されている市町村への意向調査では、自治体が地域の実態(近隣自治体との賃金均衡やサービス確保の必要性)に基づき、主体的に判断できるよう十分な配慮が必要だ。
今回の地域区分改正案は経営の根幹を左右する大きな影響があるため、本分科会の下に専門の検討組織を設け、地域経済や社会的影響に対するアセスメントを行うべきであり、支給割合の設定を含め、地域実態を十分に考慮した慎重な議論を強く要望する。
(参考資料:https://www.roushikyo.or.jp/index.html?p=we-page-menu-1-2&category=19325&key=21769&type=contents&subkey=596892)