アーカイブ

特集(制度関連)

さりげないおしゃれで心も明るく

秋冬ワークメイク指南

2022.10 老施協 MONTHLY

介護ワークにおいて、“メイクはどのくらいが適切なの?”とお悩みの人も多いのでは?
そんな悩みを解決し、表情と“心”も明るくするメイクのヒントを、メイクアップのプロに伺った。


忙しくても自分の顔と向き合う
肌と心のケアを大切にする時間を

 ここ数年、介護ワークもマスクの着用が日常化し、「目元しか見えないから」「時間も惜しいから」とマスクの下はナチュラルメイクも省略して出勤という方も少なくないのでは?

「口角がこわばっていると目元周りも突っ張り、マスク姿でも表情が固く見えますので、笑顔を作って頬の一番高くなる位置にチークを乗せるだけでも、頬の筋肉の緊張が和らいで、マスク越しでも表情が優しくなります」

 そう話すのはモデルや俳優のヘアメイクアーティストとして活躍する釣谷ゆうきさん。以前、看護師向けのメイク講習で、こんなことがあったそう。

「ある看護師さんが『看護の仕事は、メイクをしないほうがいいと思っていた』と話されていて、その方は笑顔でもどこか沈んだ表情に見えました。仕事柄『メイクはダメ』と思い込み、自然と自分の心にふたをしていたのだと思います。メイクは外見と心を華やかにするものですので、どんなお仕事でも自分の肌と心を良く保つために、日々、鏡と向き合うことが大切です」

 実際、釣谷さんの講習での「肌は丸まった赤ちゃんをふんわり包み込むように触れる」というレクチャーを実践した人が2週間後、肌はふんわり血色は良く、表情も柔らかくなり、指導した釣谷さん本人も驚いたそう。乾燥する秋冬は、メイクを通しての肌ケアに、忙しくても気を配りたい。

“乾燥”を意識して取り組みたい
秋冬のメイク&スキンケア

 実際、秋冬のメイク&スキンケアのコツのようなものはあるのだろうか?

「これから話すことは、一人ひとり自分の肌に問い掛けながら実践してもらえたらと思います。まずマスクの下のメイクは、サラサラなパウダーファンデーションが落ちにくくメイク直しが少なく済みます。ですが乾燥しやすい季節は、保湿性の高いリキッドファンデーションが肌に合う人もいます。通年同じものを使用している方は、肌に問い掛けて、季節ごとで使い分けるのが良いかもしれません」

 忙しい日でもメイクオフとスキンケアは、より気を遣いたいところ。

「クレンジングはバスタイム前に丁寧に、クレンジング剤はミルクを使って洗うのをおすすめします。顔をこすると肌のダメージにつながりますので、指先が軽くなるまで(45秒~1分ほど、乳化の状態になるまで)優しくなじませましょう。好きな香りのミルクならリラックス効果も得られるかと。クレンジングオイルは種類により乾燥を促す場合がありますので、これからの時期は特に気をつけてください。洗い流す際は、よく『ぬるま湯で』と言われますが、水の方が後から肌の毛穴が引き締まって乾燥を防げます」

 これからの季節、乾燥を防ぐ上でスキンケアも気になるところ。

「化粧水をたっぷり手に取り、ハンドプレスで顔になじませてください。時間を節約したい方は、オールインワンジェルを使うのもいいでしょう。丁寧に自分の肌に触れて、いたわることで心のゆとりが生まれると思いますよ」

気を付けたいポイント
「秋冬の介護ワークもメイクを楽しむために」

①バースメイク

「ファンデーションは、顔全体へメリハリをつけて塗り、不必要な部分を塗らないことで、メイク崩れを防げます。ポイントとなる部分は下の図を参照ください」

全体を薄く、その上でTゾーン、鼻横、頬骨をきちんとカバーすると立体感が生まれる
②ハンドケア

「入浴介助などで手を酷使すると思いますので、就寝前にシルクの手袋をはめるのもいいと思います。仕事中は無香でベタつかないクリームでのケアが有効です」

③アイメイク

「ボルドーなど秋向けの色合いのカラーマスカラがおすすめです。アイシャドーも、ピンクなど肌なじみのいい色をまぶた中心に入れると明るい印象に」(下図参照)

①・②・③の順に茶色を徐々に濃くし、黒目の高い④の部分へ明るいポイント色を入れる

釣谷 ゆうき

釣谷 ゆうき

つりや・ゆうき●ヘアサロン勤務を経て、現在CMやTV、ドラマでヘアメイクを担当。メイクレッスンも実施し看護師向けのメイク教室も開いている


取材・文=中村実香