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介護医療院の6割超が重度要介護者の「最後の砦」に
#日本介護医療院協会 #介護医療院
▶病院と介護施設の狭間で利用者の受け皿として役割を果たす
日本介護医療院協会は10月9日、日本慢性期医療協会の定例記者会見において、令和7年度の調査結果を公表した。
調査は、今年6月に全国の介護医療院763施設を対象に実施し、156施設から回答を得た(回答率20.4%)。
調査結果によると、介護医療院の稼働率は全体で92.1%、重篤な病状のある高齢者が入所するI型が91.7%(要介護度平均4.31)、比較的安定している高齢者が入所するII型では93.3%(要介護度平均3.89)だった。また5月の介護保険算定単価は、I型が1万5,871円、II型が1万2,901円。2021年に移行定着支援加算の廃止で大きく下がったが、その後は徐々に上昇している。経営状況に関してはI型では黒字40%、赤字27%だが、II型では黒字34%、赤字30%とI型、II型とも赤字が増加した。
今回の全27項目の調査結果では、介護医療院の入所者は医療処置が多く要介護度が高く、経管栄養、喀痰吸引、レントゲン撮影、点滴治療、酸素投与等の日常的な医学管理や、緩和ケア等が提供されていること、多職種協働でリハビリや栄養・口腔ケアの一体的な取り組みが積極的に行われていること、死亡退所が多く、本人の意思表示が難しい入所者が多い中で、家族や後見人と丁寧に話し合いをしながら看取り対応が行われていることなどが明らかになった。また一方で、介護医療院ではリハビリが積極的に実施され、在宅復帰できている例も10%程度あり、終の棲家としての機能だけでなく、在宅復帰機能も担えることが示され、病院との違いとして「生活施設」としての側面があり、身体拘束ゼロへの取り組み、食事にこだわった取り組みや外出訓練等、その人らしい生活、尊厳に根差したところを大事にしていることも判明し、介護医療院が人生の最期まで尊厳を大事にする思いを反映しているものと考えられる。最近の問題点としては医療処置、看取りが多くなり、施設の持ち出し、業務負担が増えているとの指摘が増えた。
同協会は調査結果を受けて「介護医療院は医療が必要な重度要介護者の最後の砦。病院と介護施設の狭間にある、どちらも受け入れにくい患者の受け皿としての役割を果たしている。このことは、本人、在宅で支える家族、病院や介護施設すべてにとって利点がある」との所見を述べている。