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速報(JS-Weekly)
前期高齢者からの「多剤服用対策」が重要
#多剤服用対策
▶多剤服用による要介護認定の受けやすさは前期高齢者1.89倍、後期高齢者1.43倍
国際医療福祉大学大学院薬学研究科は9月、多剤服用をしている高齢者の6年間分の追跡調査データを分析し、要介護認定の受けやすさについて結果を公表した。
複数の薬を内服する「多剤服用」は、疾病の治療に利益をもたらす一方で、薬の服用数が多いほどフレイル(虚弱化)や要支援・要介護認定(以下、要介護認定)を受けやすいことが報告されているが、これまでの研究では薬の種類が多くなりやすい疾病の数やフレイルといった健康状態を考慮した上で、年齢階層ごとに多剤服用と新規要介護認定発生との関連を検討した報告はなかった。
本研究では、2013年度に全国14市町村に住む12,752人の高齢者を約6年間追跡した調査データを用いて、疾病数やフレイルを調整し、前期・後期高齢者別に服用している薬の数と追跡期間中に新たに要介護認定発生との関連を調べた。
その結果、疾病数など12変数(年齢、性別、教育歴、就労の有無、同居の有無、配偶者の有無、等価所得、疾病数、フレイル、喫煙の有無、飲酒の有無、主観的健康感を統計的に調整)を考慮しても、前期高齢者では薬を服用していない者と比べて3〜4種類の薬を服用している者で1.31倍、5種類以上で1.89倍、後期高齢者では5種類以上で1.43倍の倍率で、新たに要介護認定を受けやすい傾向が見られた。
結論として、高齢者の医薬品適正使用の指針において対象外である介護を受けていない前期高齢者でも、多剤服用対策する必要性が示された。地域の医療機関や薬局は、比較的健康な前期高齢者に対しても多剤服用対策に取り組むべきと考えられる。
(参考資料)