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速報(JS-Weekly)

継続的に入れ歯を使用する高齢者ほど寿命が長い

#歯科補綴物 #入れ歯 #ブリッジ #インプラント

▶約48,000人のデータから分析

 東京科学大学の研究グループは8月、高齢者が歯科補綴物を継続的に使用していた場合、使用していなかった場合に比べて死亡リスクが低いという研究結果を公表した。

 歯の喪失が高齢者の死亡リスクを高めることは、これまで広く報告されてきたが、歯科補綴物(入れ歯やブリッジ、インプラントなど)の使用がそのリスクを軽減するかどうかについては、十分に検証されていなかった。

 そこで同研究グループは2013年、2016年、2019年に実施された「日本老年学的評価研究(JAGES)」の調査に参加した47,698人の高齢者のデータから、歯科補綴物の継続的な使用状況および、追跡期間中に変化する歯の本数や健康状態などの背景要因を統計的に考慮した分析を行った。

 参加者のうち55.8%が調査開始時点で歯科補綴物を使用しており、うち19.0%が追跡期間中に死亡したが、分析では「歯科補綴物を継続的に使っていた人は使っていなかった人に比べて生存割合が高く、全体で3.7%ポイントの差が見られた」という結果になった。また自分の歯の本数が少ない人では、歯が20本未満の人での差5.9%ポイント、10本未満の人での差10・0%ポイントと、より大きな関連が示された。

 結論として、歯科補綴物の継続的な使用は歯の喪失による死亡リスクを軽減し、高齢者の寿命を延ばす可能性が示されたことから、高齢化が進む日本において全身の健康や生活の質向上における歯科医療の重要性を示唆している。

(参考資料)

https://www.jages.net/library/pressrelease/?action=cabinet_action_main_download&block_id=3849&room_id=549&cabinet_id=234&file_id=16667&upload_id=21869