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速報(JS-Weekly)

「高齢者施設の6割超が事前避難できない」

#南海トラフ臨時情報発表時の対応 #徳島大学

 徳島大学環境防災研究センターは3月17日、訪問看護事業所、高齢者施設、保育施設の南海トラフ地震臨時情報に関する防災対応に関する調査報告会をオンラインで開催、18日に報告資料を公開。高齢者施設では、約6割超が事前避難が難しいと回答した。

 昨年8月、日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生した際、気象庁は南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて相対的に高まったとして、「南海トラフ地震臨時情報」を初めて発表した。情報では巨大地震注意として日頃からの備えを再確認し、必要に応じて自主的に避難することが呼びかけられ、情報が発表されていた7日間、入所する高齢者を別の場所に避難させた施設もあった。

 この事例を受けて、高齢者施設の避難に詳しい徳島大学環境防災研究センターでは昨年12月から今年1月にかけて、太平洋側にある8県(静岡・愛知・三重・和歌山・徳島・高知・愛媛・宮崎)のうち、津波による浸水が想定される420の高齢者施設を対象にアンケート調査を行い、96施設から臨時情報の認知度やその後の対応についての回答を得た。

 その結果、臨時情報の認知度については「今回発表されたことで知った」と答えたのが57施設(59.4%)だった。またその後の対応については「備蓄の点検を行った」(51施設)「事業継続計画の内容を確認した」(49施設)などと回答し、多くの施設が防災対応をとっていたことが分かった。  

 また臨時情報が発表されたことで事前に避難したかどうかについて「事前に避難する必要はないと判断し避難しなかった」が86.5%(83施設)を占め、通常の介護サービスを継続していた施設が多かったことが分かった。

 さらに今後、臨時情報が出された場合「事前避難をしない・できない」と答えた施設は64施設 (66.7%)。理由は「入所者の移動が難しい」が73.4%と(47施設)が最も多く、入所型の高齢者施設が抱える移送や受け入れ先の問題が改めて浮き彫りとなった。

 

(参考資料:https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/4/7/1/2/6/6/_/_________.pdf