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〈福祉医療機構〉
令和4年度決算で、通所介護事業所の約半数が赤字に
JS-Weekly No.918
#通所介護事業所 #サービス活動増減差額比率
利用率の低下および水道光熱費率の上昇により、経営状況が悪化
独立行政法人福祉医療機構は2月28日、貸し付け先の通所介護事業所(通所介護事業所および認知症対応型通所介護事業所)の経営状況等を分析した調査リポート「2022年度 通所介護の経営状況について」を公表した。
これによると、通所介護事業所(全国5744か所)の49.6%(前年度比3.1ポイント増)が令和4年度決算で赤字であったとまとめた。同機構は、利用率の低下および水道光熱費率の上昇により、本業の利益率に当たるサービス活動増減差額比率が低下したと分析している。
収益に関わる指標をみると、利用率は68.0%(同2.0ポイント減)で、コロナ禍初期の利用控えなどがあった令和2年度の水準を下回った。また、登録者数も72.1人(同5.6人減)で、「利用者の確保が経営課題だ」と指摘している。
費用面では、令和4年10月に新設された介護職員等ベースアップ等支援加算の影響により利用者単価が9475円と前年度から254円上昇したが、利用率が低下したことで、定員1人当たりサービス活動収益が197万1000円と前年度から8000円減収となった。また、物価高騰の影響を受け、水道光熱費率が5.3%と前年度から0.8ポイント上昇した。
このほか、通常規模型の事業所や営利法人以外の事業所では、サービス活動増減差額比率がマイナスとなり、赤字事業所の割合も半数を超えていた。
経営サポートセンターリサーチグループの平内雄真調査員は、「利用率の低下に加えて、昨今の物価高騰を受けた水道光熱費の値上がりが費用増加を招き、経営面で大きな影響を与えていた」と説明。黒字転換のためには、利用率の上昇による増収や費用削減などが不可欠だとし、「各事業所の取り組みが今後の経営を左右する」と指摘した。