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〈厚生労働省〉
第231回介護給付費分科会、令和6年度介護報酬改定に向けて サービス毎に議論
JS-Weekly No.904
#介護報酬改定 #介護事業経営実態調査
厚生労働省は11月16日、「第231回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催した。
今回は、前回の介護給付費分科会に引き続き、令和6年介護報酬改定に向けてサービス毎に議論が行われた 。協議題は以下の通り。
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令和6年度介護報酬改定に向けて
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 特定施設入居者生活介護
- 高齢者施設等と医療機関の連携強化
- 福祉用具・住宅改修
- 令和5年度介護事業経営実態調査の結果について
古谷参与、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、高齢者施設等と医療機関の連携強化について意見
本会から委員として出席した古谷参与は、以下の意見を述べた。
令和6年度介護報酬改定に向けて
令和5年度介護事業経営実態調査の結果において、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設の収支差率が、平成13年の調査開始から初めてのマイナスとなり、経営的に大変厳しい状況である。施設の経営努力だけでは限界に来ており危機的な状況だ。令和6年度介護報酬改定においては、「基本報酬の増額」「介護従事者の処遇改善」「食費・居住費に係る基準費用額の見直し」について、今後の物価・賃金の上昇に見合う大幅な増額を行っていただきたい。
介護老人福祉施設について
(緊急時の医療提供体制等)
緊急時等の対応方針の策定及び定期的な見直しは必要だが、協力医療機関との協議の状況を把握すること、また配置医師が算定できる診療報酬についてわかりやすい方法で周知を行った上で、検討するべきだ。
配置医師緊急時対応加算の見直しは、賛成である。現在の配置医師緊急時対応加算の算定要件は、厚生労働大臣が定める施設基準と看護体制加算Ⅱの算定が要件となっているが、厚生労働大臣が定める施設基準において、診療を依頼する場合の具体的状況等についての取り決めを要件としており、看護職員数によって診療依頼は変わらないと考えられるため、看護体制加算Ⅱの要件は不要と考える。
(透析が必要な入所者の送迎・付き添いの評価)
透析が必要な入所者の送迎・付き添いへの評価は、医療処置が必要な入所者の受け入れに効果があるが、入所者の全般の重度化が進んでいる状況もあり通院が増えているため、他の疾患に関しての評価も検討いただきたい。
(小規模介護特養)
離島・過疎地域の小規模介護老人福祉施設等は、地域社会を支えるセーフティネットの役割を担っている。地域性や運営形態により存続が危惧される状況がないよう一層の配慮をお願いしたい。また、離島・過疎地域にある小規模介護老人福祉施設においては、専門職の人材確保が非常に困難である状況を考慮し、処遇等が適切に行われることを前提にさらなる基準緩和が必要だ。
介護老人保健施設について
リハビリテーション、口腔、栄養の一体的な取組は自立支援・重度化予防につながることが期待され、推進することは重要だ。また、介護老人保健施設以外の他サービスにおいても同様の取組みの推進をお願いしたい。
特定施設入居者生活介護について
定員が少ない施設においては、この体制確保が難しい状況がある。上位区分をもうける形は良いと考えるが、「オンコールで対応している」場合の評価を下げることは、加算自体の算定を減らし、医療的ニーズへの対応が弱まる懸念もあるため、単価設定においては配慮を頂きたい。
高齢者施設等と医療機関の連携強化について
協力医療機関との適切な連携の構築は重要であり、そのために実効性のある連携体制を構築するための協定を結ぶことを推進することも必要だ。
しかし、地域により在支診・在支病の有無、医療機関の数、種別等様々であり、夜間休日を含めての診療対応や緊急時に原則入院できる体制の確保、定期的に対応の確認すること等を義務化し、すべての施設において協定を結ぶことは実現不可能だ。条件が追加されることで、現在の協力病院との契約が継続できなくなる可能性もある。
一年間の経過措置を設けたとしても、相手方である医療機関側の協力が得られなければ成就できない話であるため、運営基準違反を問われる施設が多数出る恐れがあり、環境が整うまで段階を踏んで進めていくべきだ。まずは努力義務とし、診療報酬、介護報酬それぞれに、医療機関と施設との協議を促進するために必要な措置を講ずるとともに、そもそも不可能な地域を見極めて義務化から除外するなど、各地の状況を把握したうえで慎重に対応すべき。
また、入所者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価することに関しても、施設入所者の入退所が多い場合などは施設、医療機関の両者にとって負担が重く、また情報が古くなる可能性もある。
両者の生産性の向上も考慮し、DX化によって会議形式によらない情報交換も可能とする方法を検討すべきだ。