最新制度解説

速報(JS-Weekly)

〈全国老施協〉

「令和4年度介護人材確保総合セミナー 〜人材確保のための広報戦略〜 」を開催

JS-Weekly No.868

#外国人介護人材 #特定技能実習制度

2月28日〜4月28日までの約2か月間、何度でも視聴可能

 全国老施協の介護人材対策委員会は、「令和4年度介護人材確保総合セミナー〜人材確保のための広報戦略〜」を開催した。この研修は、全国老施協と株式会社リクルート HELPMAN JAPANグループとタイアップしたもので、オンデマンド動画配信(YouTube)で実施されている。2月28日〜4月28日までの約2か月間、何度でも視聴することができる。

 委員長の太田二郎氏は開会のあいさつで、「コロナ禍で様変わりした採用業務と外国人介護人材の効率的な採用方法について分かりやすく解説する内容。コロナ禍におけるWeb面接の対応方法やメリットとデメリットなどを伝授する。また、外国人介護人材の採用に二の足を踏んでいる施設に対しては、採用に向けての動機付けになるようなエッセンスも用意している」と語っている。

新型コロナウイルス禍での就職活動におけるWeb活用状況

 コロナ禍で落ち込んでいた大学求人倍率は1.58倍に上昇し、回復傾向にある。学生のインターンシップ参加率も約6割に上っている。インターンシップの実施状況(令和5年卒・令和6年卒(予定))をみると、約3割の企業が対面・Web両方で実施または実施予定となっている。また、令和4年卒の学生のWebインターンシップの参加率・社数は48.4%(前年度比32.7ポイント増)で、大幅に増加している。就職活動のプロセスにおいても、Web・対面実施率は50%以上(面接においては70%以上)である。オンラインで就職活動を行うメリットは、就職活動費用(交通費、宿泊費など)の削減や応募者の増加、満足度など、学生・企業双方に表れており、就職活動を行う上で、オンラインという手段が非常に浸透していることが分かる。

 デメリットとしては、オンライン対応による「距離感」「素が見えにくい」「雑談が一切できない」といった弊害である。実際に、面接選考は対面を希望する学生が約半数いることを鑑みると、一次、二次面接はオンラインであっても最終面接は対面(すべてオンラインの場合は、最終面接前にフォロー面談を実施)で行うなどの方法で、企業・学生双方の不安を解消することが重要である。

 今後の課題としては、「自社の魅力の伝達方法」「ノウハウ」「学生の動機付け」などが挙がっており、これらをオンラインの中でどのように行っていくのかが、新たなテーマとなっている。

初めての外国人介護人材の採用に向けて

 初めての外国人介護人材の採用について、イチゴイチエ・コンサルティングの代表取締役三浦一生氏と、株式会社ONODERA USER RUNの取締役専務執行委員の武井亮二氏から現状を伺った。

 イチゴイチエ・コンサルティングは有料職業紹介免許を取得し、フィリピンにおいて、人材育成・紹介を行っている会社である。

 技能実習生受け入れ後のトラブルとして多発しているのが、事前の説明との乖離だ。技能実習生に対する説明を監理団体に任せきりにせず、さまざまな機関との契約内容、やりとり、給料や福利厚生、業務内容などを書面に残し、丁寧に説明することで、トラブルの回避につながる。その他、行き違いを防ぐためにコミュニケーション量を増やしたり、就労面や待遇面ばかりでなく、生活環境を正確にイメージさせたりすることも大切である。

 外国人材が定着で失敗しない方法として、①外国人が意欲的に仕事をできる環境を作る、②地域社会にネットワークを作る、③日本が世界から見たら異質であることを理解する、④マネジメントを工夫する(曖昧な言葉やNGワードを使わない)、⑤公正な評価をし、差別をしない、⑥独りにしない仕組みを作る、などがポイントとなる。その他、国ごとの宗教観や慣習を理解することも大切である。

 株式会社ONODERA USER RUNは、海外人材教育、紹介登録支援機関として、海外での人材募集・教育から人材紹介、ビザ申請支援、受け入れ準備サポート、入職後の定着支援までをワンストップで行う会社である。特定技能制度と受け入れ準備について伺った。

 特定技能制度は令和元年4月に創設された制度で、①国内だけでは人材確保が困難な業種が対象となり、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材の受け入れが可能、②待遇面は日本人と同等の扱い、③入国後の特定技能外国人に対する10項目の支援の義務付け、という特徴がある。

 特定技能制度のポイントは次の3つ。

  1. 在留期間は最大5年。介護福祉士資格取得で在留資格「介護」へ移行し、実質無期限で就労可
  2. 転職可能
  3. 受け入れやすく、即戦力(人数制限がなく、配属後すぐに人員算定可。夜勤も可)

 また、特定技能外国人受け入れのメリットは次の3つ。

  1. 能力水準の高さ(介護業務の基盤となる技能や日本語能力などの試験に合格している)
  2. 就労制限の少なさ(身体介護やそれに付随する支援業務など全般に従事可能)
  3. 支援の外部委託(特定技能外国人に対する10項目の支援の外部委託が可能)

 また、一例として株式会社ONODERA USER RUNでは、特定技能外国人受け入れまでに要する期間は、国内人材で最短3か月、海外人材で最短6か月である。採用方法は、職業紹介機関からの紹介または自社で求人し、面接を行う。採用後は事前ガイダンス等を行った後、在留資格変更許可申請(国内人材の場合)をし、就労開始となる。

 特定技能外国人採用に必要なコスト(概算)は、初期費用約110万円、ランニングコスト約150万円/5年で、合計で約260万円。