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血液検査でアルツハイマー病に合併する脳血管障害の程度などが判定可能に
#アルツハイマー病
▶認知症の早期発見、診断補助、治療方針の決定等に役立つ
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター診断イノベーション研究部と新潟大学脳研究所等の研究グループは1月6日、アルツハイマー病の患者に見られる脳の白質の傷(白質高信号)と、血液中の「胎盤増殖因子」という物質との関連を明らかにした。この成果により、簡便な血液検査で脳の血管障害の程度を把握できる可能性が高まった。
認知症の原因の約3分の2を占めるアルツハイマー病は、脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積することで進行するが、約20%~40%の患者が脳の血管障害も合併していることが知られている。この血管障害は、認知機能を悪化させるだけでなく、令和5年以降に承認された抗アミロイドβ抗体薬の効果にも影響を与える可能性がある。
脳の血管障害を早期に把握することが重要ではあるが、これまで血管障害の程度を示すバイオマーカー(血液で測れる目印)は存在しておらず、MRI検査に頼るしかなく、しかも評価者によるばらつきが大きいために客観的な評価が難しいという課題があった。
今回の研究は、新潟大学とその関連病院の「もの忘れ外来」を受診した242人の患者を対象に、MRI検査・脳脊髄液検査・血液検査を実施。脳の血管に慢性的な障害があると増加する血液中のPlGF(血管の成長や修復に関わるタンパク質)の値と、脳の白質の傷(白質病変)の程度との関連を調べた結果、アルツハイマー病と診断された患者では、脳の白質の傷(白質病変)が大きいほどPlGFの値が高いことが判明した。この関連性は年齢・性別・認知機能の違いを考慮しても確認されている。
この成果は、血液検査という簡単な方法で、脳の血管障害の程度を把握できる可能性を示しており、患者にとって「認知症の早期発見や診断の補助」「治療方針の決定(抗アミロイドβ抗体薬の適応判断など)」「定期検診による脳血管障害の進行度の確認」「MRI検査が難しくても血液検査によって脳の状態をチェックできる」などのメリットが考えられる。
今後は、患者を長期間追跡する研究や、他の血液バイオマーカーと組み合わせて将来の認知機能の変化を予測する研究を進めることで、臨床現場で応用できるようになることを目指すという。
本研究は、厚生労働科学研究 認知症政策研究事業、科研費(日本学術振興会科学研究費助成事業)、国立長寿医療研究センター長寿医療研究開発費からの研究助成を受けて行われた。