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介護施設のマニュアル作り 「排泄ケアマニュアル」 作成の実践ガイド その1 : マニュアル編

介護の現場に必要な「革新」や「確信」や 「核心」をその分野の専門家にうかがいます。


介助の技術だけでなくご利用者の 心のケアの仕方もマニュアルに
食事、入浴、排泄という三大介助の中でも、ご利用者の尊厳や羞恥心にも強く関わるのが排泄介助です。排泄介助のためのよいマニュアル作りができれば、それは施設にとっての宝物になるだけでなく、どの業界に向かっても誇れるものになるのではないでしょうか。
排泄介助のマニュアルには、そもそもご利用者にとってなぜこのケアが必要で、こうしたケアを必要とする状況になったのかを、職員全員が理解するために記載する必要があります。
さらにご利用者ができるだけ羞恥心を感じずに済むように、どのような心遣いができるのか。そのためのノウハウをしっかりと記載します。
一連の流れの中で重要な役目を果たすのが「声かけ」です。ご利用者の多くは、自分のプライベートな部分を他者に委ねることに対して申し訳なさや罪悪感を抱いているため、マニュアルにはどのタイミングでどんな声かけをすればよいか具体的な声かけの例を盛り込んでおきましょう。これで新人や外国人スタッフも取り組みやすくなります。 技術的な手順だけでなく、ご利用者の心のケアの側面も十分に考慮してマニュアル化することがご利用者の安心感や信頼感につながります。

健康管理と感染予防の視点を 排泄介助のマニュアルに組み込む
介護施設における排泄ケアで見逃せないのが、ご利用者の健康状態の観察機会としての側面です。排泄ケアはご利用者の全身的な健康状態を把握するための重要な情報源となるため、この機会を逃さないように、どこをどう観察したらよいのか、観察のポイントをマニュアルや手順書に明記することは特に重要です。
こうすることで新人スタッフでも見落とすことがなくなり、慣れてくれば、これらの観察ポイントを自然に確認できるようになりますが、最初は意識的にチェックすることが必要です。
また、感染症の流行期には、通常以上に観察を強化する必要があることも明記しておきましょう。

チェックリストを使って マニュアルを理解しているかを確認
マニュアルの内容を実践する際の補助ツールとして有効なのがチェックリストです。作成する際は、できているかいないかの判断が、評価者によってばらつかないように、どのような状態であればマル、どのような状態であればバツとするのか、具体的な基準を併記しておくことが重要です。
ただし、日々の業務でのチェックリストの使用は、現場の負担を増やすことにつながり、形式的な作業になって本来の目的を見失う恐れがあります。新人スタッフの研修時や中途採用者が入職して数週間経過した時点での手順の習得度を確認するためや、アウトブレイクに手順が正しく行えているかなど、特定の目的や期間を定めて活用するツールとして位置付けましょう。

介助者の心身の健康を守ることの 大切さも書き込んでおく
排泄ケアのマニュアルでは、ご利用者の尊厳や健康を守ることが何より大切ではありますが、ケアの対象者だけでなく、ケアを提供するスタッフの安全も守るという視点が、マニュアル全体に貫かれるようにすることが大切です。 次回ご紹介する、排泄ケア後の処理の手順もその一例です。
その2 手順書編 へ続きます。