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令和2年度カントリーミーティング・プレ開催

新たな課題解決手法を取り入れ
「未来型思考」の議論を展開

2021.2 老施協 MONTHLY

1月26日、「令和2年度カントリーミーティング(プレ開催)」が、平石朗会長、木村哲之副会長、角田充由理事も参加し、初のオンライン形式によって行われた。参加した全国老施協21世紀委員会委員および都道府県・指定都市21世紀委員会などの代表者計46人は、WEB上で講義やグループワークに取り組んだ。その模様を紹介する。

「プレ(試行的)開催」として新たな試みにトライ

19年にわたり現場の声を集積し、課題に向き合ってきた「21世紀委員会・カントリーミーティング」。高齢者施設や事業所、全国老施協・各県老施協で活躍する人材を輩出するなど大きな役割を果たし、介護現場を担う若い職員がつながり、自由な意見交換ができる場として定着してきた。
一方で、高齢者福祉をめぐる環境が変化し、全国老施協の組織改革も進むなか、21世紀委員会も活動目的や役割、組織の位置づけの再構築が求められるようになってきている。
こうした転換期にあることを踏まえ、今回のカントリーミーティングは、▽Zoomによる初のオンライン開催、▽2日研修を1日に集約、▽新たな課題解決手法によるグループワークの実践、▽参加対象者の絞り込み(都道府県・指定都市老施協の21世紀委員会等の代表者に限定)など、新たな試みにトライする「プレ(試行的)開催」として行われた。

[基調報告]

次世代リーダーとして改革の先頭に立ってほしい

平石朗 会長

私の願いは、全国老施協の会員施設が介護業界のトップランナーになることだ。今回の新しい試みは、コロナ禍における先駆な取り組みでもある。全国老施協も抜本的改革を実現してきた。WEB会議システムの導入・定着、広報内容の抜本的改革や広域感染症災害救援事業の実施、会費の1割削減などである。戦略性を持つ組織への転換も図っている。それを反映させるため、令和3年度事業計画では「介護現場の革新」「感染症対策を含む災害対策の強化」「介護報酬改定への対応」の3つを重点事項とする予定だ。
21世紀委員会には、「次世代リーダーの育成」を実行して新生老施協を牽引していただきたい。目標とする「全県設置」は結果であって目的ではない。全国老施協が介護業界のトップランナーとなるためにも、21世紀委員が「次世代を担うリーダー」としての自覚を持ち、改革の先頭に立つことが必要だ。

[趣旨説明]

「次世代リーダーを担う人材育成」「全県設置」を改革の柱に

全国老施協21世紀委員会
服部昭博 委員長

21世紀委員会改革を掲げ、「次世代のリーダーを担う人材の育成」「全県設置」を改革の柱とする。具体的には、次の4項目で11の改革を進めていきたい。

組織体制

  • 各県および全国老施協会長の指揮下に置き、各ガバナンス体制下において実施

活動目的

  • 活動目的の明確化(次世代を担うリーダーの育成など)
  • 各県委員の専任(年齢、任期の原則規定など)
  • 21世紀委員会(拡大)の開催増(WEB開催、年4回・各90分)
  • 委員会設置モデル規程の作成
  • 各県老施協、全国21世紀委員会の活動内容を全国老施協HPの委員会サイトに掲載し、情報共有とPRを行う

カントリーミーティング

  • 全国老施協会長の講演、ブロック会長関与など
  • 参加対象は50歳未満、原則として21世紀委員とする
  • 各ブロック、介護現場の実情に応じたプログラムの選択
  • 学術的知見に基づく分科会プログラムのリニューアル

その他

  • 委員会名称の変更(再出発をアピールするため新名称への変更を検討)

ワークショップ

「見たことも、聞いたこともない、介護現場をガラリと変える方法」

「システム×デザイン思考」による課題解決手法を学ぶ

迫りくる“超・超高齢者社会”を乗り切るには、斬新な発想で現場を牽引していくリーダーが求められる。そこで今回は、学術的知見に基づく分科会プログラムのリニューアルの一環として、課題解決のための新しい思考法・議論の手法を取り入れたワークショップが行われた。
オンライン研修によるワークショップは、ZoomおよびオンラインホワイトボードツールMiroを用いた全体講義とグループワークの構成。合同会社JudgePlus代表で慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科特任教授の広瀬毅氏が講師と進行を務め、同研究科のスタッフと全国老施協21世紀委員会がファシリテーター、ティーチングアシスタントを担当した。


合同会社JudgePlus代表・慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科特任教授の広瀬毅氏

広瀬氏は講義の冒頭、「人の認知には、無意識にバイアスがかかっており、特定の集団は特定のバイアスがかかっている」と述べ、本来あるはずのない画像を紛れ込ませた胸部のCTスキャン画像を放射線科医の83%が見落とした実験例を挙げた。そのうえで「専門家は専門領域の外側を見落とす」と説明し、柔軟な発想の重要性を指摘。従来の「分析的思考」ではなく、「システム思考」と「デザイン思考」を適切に組み合わせ、既存の枠を超えて新たな価値を生み出す「イノベーティブ思考」をすることの必要性を、実例を交えながら説明した。
イノベーティブ思考について広瀬氏は、「自分の思考の外側に“解”がある可能性があるという前提に立ち、思考の境界線を意識的に拡げて、“思考の発散と収束”を適切なタイミングで組み合わせていくことが大切」と強調した。

オンラインツールを用いグループワークを実践

講義に続き、参加者はオンラインで模造紙・付箋を使うツールMiroの基本操作を学んだ後、8グループ(1グループ6名)に分かれて「見たことも、聞いたこともない、介護現場をガラリと変える方法」をテーマにしたグループワークに移った。
今回の手法は、ブレインストーミングで解空間を広げ、アイデアをグルーピングして発想の特徴を捉えるというもの。その特徴を起点にして「強制連想法」で既存の枠の外にある新しいアイデアを創出していく。

グループワークは休憩をはさみながら、参加者が自由に意見交換と議論をしながら進められた。適宜、広瀬氏はアイデアをグルーピングする「親和図法」や、そもそもの目的・価値(バリュー)と、その目的・価値を実現する代替案を構造的に考える「バリューグラフ」の手法などを講義した。


グループワーク終了後は、各グループがワークショップの成果を発表した。広瀬氏は「イノベーティブに考えるには、価値の提案とアイデアの創出を行き戻りする反復をすることになる。これが習慣化していくと、介護現場においてもイノベーティブな発想が可能となる」と総括した。
なお、このプレ開催で参加者から出された意見や課題は、次年度以降のカントリーミーティングの改善に活かされることになる。

[閉会挨拶]

コロナ禍による変化を通じて21世紀委員会も変革を

木村哲之 副会長

人が想像できるものは、必ず実現できると信じている。今回のワークショップのようにアイデアを出していくことで、描ける未来の喜びがある。
私自身、かつて21世紀委員会で大切なものをたくさん学んできた。その経験があって、今の自分があると感謝している。
昨年は激動の一年だったが、急激な変化に順応できない人もいる。コロナ禍の変化を通じて、21世紀委員会も変革を遂げていくことになろうかと思う。そのハンドリングは困難だろうが、服部委員長を中心に諦めず、挫けず、進んでもらいたい。