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首脳介談

介護は多職種協働が基本
国への働きかけでもチームで動くことが必須

2022.02 老施協 MONTHLY

介護保険法における唯一のケアマネジメント専門職としての重責を担う介護支援専門員(ケアマネジャー)。その職能団体である日本介護支援専門員協会の3代目会長を務める柴口里則会長は、自らの役目を「リスクを背負う覚悟を持ち、役員に力を発揮してもらうためマネジメントに徹すること」と話します。柴口会長と介護業界の課題や将来展望などについて語り合いました。

平石 朗/全国老施協 会長
平石 朗
全国老施協 会長

柴口里則/一般社団法人日本介護支援専門員協会 会長
柴口 里則
一般社団法人日本介護支援専門員協会 会長


インターネットなどの普及により情報の伝達がより平等に

平石 一時期、感染拡大が止まったかに見えた新型コロナウイルス感染症ですが、オミクロン株の出現で、また爆発的に広まっています。新型コロナに関して、日本介護支援専門員協会ではどのような対応を取られていますか。

柴口 国からの情報を理解しやすいよう資料を作成し、ホームページやメールマガジン、SNSで会員に発信し、昼夜を問わず自動応答する相談・質問チャットボットも設けています。会員には、こうした情報を積極的に活用してもらいたいと思います。取りに行こうと思えば、いくらでも取れるという意味において情報は平等なのですから。

平石 おっしゃるとおり、インターネットやスマートフォンなどの普及で、より平等に情報を届けられるようになりました。全国老施協の会議もこれまではみんなで東京に集まり、共有した情報を地元に持ち帰るというアナログな方法を採っていましたが、これを見直し、Web会議の全面導入に踏み切りました。ホームページの見直しや独自のアプリケーション開発にも取り組んでいます。

柴口 昨年の全国大会をオンラインで実施したところ、全都道府県から参加がありました。研修もWebを活用することによって、参集して伝達する方式から全員参加型に変化しています。

平石 介護認定審査会もコンピュータ判定が導入されていますが、今後、介護分野にもAIやICTの導入・活用の流れが一層進むことでしょう。

柴口 令和3年度介護報酬改定では、ICT導入等の事業所については介護支援専門員1人当たりの担当利用者が44件まで認められることになりました(従来は40件未満)。今後の事業所運営においても、対応を考えていく必要があります。

汗をかき地域貢献を重ねることで相応の評価を得ていく

平石 令和3年度介護報酬改定では、介護支援専門員の役割を高く評価している印象を受けます。

柴口 ご配慮いただけたと思い、居宅介護支援事業所の赤字が解消されることを期待しています。

平石 岸田内閣の打ち出した介護職員などの収入引き上げでは、介護支援専門員は対象外とされました。全国老施協はこの件について国に対して、介護支援専門員が果たしている役割の重要性を訴え、対象に加えてほしいと要望しました。

柴口 私たちも全世代型社会保障構築会議や公的価格評価検討委員会に要望書を提出していますが、今回対象にされないことになれば、次の改定で「その分基本単価を上げてほしい」と要望するつもりです。ただし、評価していただくには、我々自身が汗をかき、地域社会への貢献でも実績を積み重ねる必要があると考えています。

平石 医療と介護の連携促進、世帯全体の支援、災害時の被災者支援など、介護支援専門員に期待される役割は拡大する一方です。

柴口 新型コロナワクチン接種でも、独居高齢者の予約を担いました。こうした社会的インフラの部分を担っていることを発信し、相応の評価をいただきたいと考えています。

やるべきことをやったうえで必要なところは国に働きかける

平石 シンクタンクの創設を準備されているとのことですが。

柴口 自分たちの給与アップを勝ち取るには、国の仕組みを理解し、自分たちの社会的役割を考え、世に示していかなければならないという思いから、制度改正や介護報酬改定の議論に役立てるために、論理的・客観的なデータに基づく業務実態の立証などを行う部門にしたいと考えています。

平石 措置の時代の感覚を引きずり、いざとなれば国がどうにかしてくれると他人任せにするのではなく、自分たちで学び、やるべきことをやり、そのうえで必要なことについては力を合わせて国に働きかけていかなければなりません。これまで医療に比べて介護業界は国への働きかけが弱いとされていましたが、介護系団体のつながりは強化されつつあり、昨年1月には新型コロナワクチンの優先接種に在宅系サービス介護事業者も含めていただくよう、貴協会はじめ介護系8団体の連名で菅義偉総理(当時)に要望書を提出しました。

柴口 介護は多職種協働が基本ですが、同じように制度を良くしていく活動もチームで動くことが必須だと思います。

平石 何かあれば声をかけ合い、共により良い介護を実現していきましょう。

<一般社団法人日本介護支援専門員協会>

介護支援専門員の職能団体。公正・中立なケアマネジメントを確立し、介護支援専門員の資質および社会的地位の向上に努めることにより、国民の健康と福祉の向上に寄与することを目的に、平成17年に設立。平成19年には行動規範「介護支援専門員倫理綱領」を策定。地域支部、都道府県支部、日本介護支援専門員協会の3層の組織となっている。会員数は約3万3,000人(今年1月現在)。
https://www.jcma.or.jp/

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