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首脳介談

福祉用具のレンタルは自立支援の入り口であり、最後の拠り所でもある

2021.11 老施協 MONTHLY

今回は、リネンサプライなどの事業を行う株式会社トーカイ(岐阜県)の代表取締役社長で一般社団法人日本福祉用具供給協会の理事長を務める小野木孝二さんをお招きし、在宅の利用者をメインとする福祉用具をめぐる動向や課題、両団体の連携と協力などについて意見を交換しました。

平石
平石 朗
全国老施協 会長

小野木
小野木 孝二
一般社団法人日本福祉用具供給協会 理事長


資源の有効活用という点からも社会的ニーズに即したサービス

平石 小野木さんが理事長をされている日本福祉用具供給協会ならびに福祉用具貸与の制度のあらましについてご説明いただけますか。

小野木 当協会は福祉用具貸与事業者の集まりです。福祉用具貸与は、居宅サービス利用者の約60%の方々にご利用いただいております。福祉用具貸与は介護サービスの入り口となるもので、どの用具にするか福祉用具専門相談員が利用者やケアマネジャー、PT、ОTとケアカンファレンスで相談しながら決め、いったん決まれば24時間、365日、いつでも使えるのが特徴です。介護人材確保がますます必要となる今後、離島や僻地などヘルパーが少なくなった地域で自分の能力を最大限に活かしながら生活を維持したい方々の自立を援助できる、いわばラストリゾート(最後の拠り所)となるサービスでもあります。

平石 レンタルという形は、資源の有効活用という観点からも社会的評価を得やすいのではないでしょうか。

小野木 使用後に回収・消毒し、新たな方に使っていただくのですから、昨今のSDGs(持続可能な開発目標)が盛んに言われる時代に即した事業といえます。介護保険制度に盛り込んだ厚生労働省の先見の明は称えられるべきでしょう。

レンタルだからこそ、状態像や利用環境変化に柔軟に対応できる

平石 令和3年度介護報酬改定で福祉用具の上限価格が論点とされました。介護保険制度は合理的であるべきで、そのためには現場の実情を国政に伝えなければなりません。

小野木 その点、最も危惧しているのは、財政的観点から「軽度の人の杖や歩行器をレンタルでなく販売にすれば、ケアマネジャーの介入がなくなり、安くなるはず」という意見が出ていることです。
実際には、レンタル制度だからこそ、利用者の状態像や利用環境の変化に柔軟に対応できるのであり、これを止めて購入に切り替え、心身の変化に対応できなくなった用具を使い続ければ、自立に結びつかないどころか、重度化を促進する恐れもあります。そうなれば介護費全体の削減にもつながりません。エビデンスを持って国にこのことを訴えていきたいと考えています。

平石 安心・安全が必須条件の福祉用具ですから、専門家が点検できるという利点も大きいですね。

小野木 たとえば、歩行器のゴムは使い続けるうちにすり減ってきますから、転倒の要因にもなります。適切に対応すれば、こうしたリスクを減らせます。

平石 福祉用具を貸与する側、利用する側と立場こそ異なりますが、協力し合える部分については連携してまいりたいと考えています。

小野木 我々は在宅の利用者に合う福祉用具を選び、供給しているわけですが、施設に入居した際、打ち切られるのが現状です。国には、これを見直し、入居後も引き続き利用できるようにしてもらいたいのですが、その有用性の検証にぜひご協力をお願いできればと思います。

平石 確かに、利用者はカスタマイズされた車いすのほうが快適でしょう。食事の際、姿勢が維持できなければ、誤嚥の要因にもなりかねません。検討したいと思います。

仕事の重要性や素晴らしさを伝えられる業界にしていきたい

平石 猛威を振るってきた新型コロナ感染症も、ようやく落ち着きを見せ始めました。

小野木 平石会長をはじめ全国老施協の皆さんのご尽力もあり、施設職員のワクチン接種が早まり、早期に済ませることができました。今後3回目の接種があれば、我々も現場の職員の皆さんとともに早めに接種できることを期待しています。

平石 10月1日は「福祉用具の日」とのことです。今年はどのような催しを行われたのですか。

小野木 今年は「福祉用具の日」の20周年の記念事業として福祉用具川柳を募集しました。5000句以上が集まり、最優秀作品のほか厚生労働大臣賞や経済産業大臣賞が選ばれ、表彰式を執り行いました。

平石 私も常々、多様な手段を用いて介護や福祉についての啓発を行う必要性を感じています。

小野木 特に若い人たちにアピールして就職先の選択肢にしてもらえるよう、仕事の重要性や素晴らしさを伝えられる業界にしていくつもりです。

平石 今後とも、よろしくお願いします。

一般社団法人日本福祉用具供給協会

平成8年に設立。福祉用具を供給する民間事業者により構成され、関係する公的機関や関係団体と連携・協力しながら、利用者を尊重した総合的供給体制の強化を図る。また、供給する各種サービスの質的向上に努めるとともに、福祉用具の普及促進、利用者情報の研究開発への反映などを進めることで、総合的な介護システムの増進、ひいては地域福祉の発展に寄与することをめざす。
令和3年11月1日現在の会員は362社(正会員309社、賛助会員53社)。
https://www.fukushiyogu.or.jp/

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