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首脳介談

運営母体は多様だが、異なる視点の意見が集まる強みがある

2021.10 老施協 MONTHLY

介護関連団体のトップと、これからの介護事業のあり方について「介談」を行う本対談。第2回目は、公益社団法人日本認知症グループホーム協会の河﨑茂子会長をお招きし、認知症の人とその家族の支援にかける思い、介護事業者の連携の必要性などについて意見を交わしました。

平石
平石 朗
全国老施協 会長

河﨑
河﨑茂子
日本認知症グループホーム協会
公益社団法人 会長


小規模な施設であるがゆえ良い面と難しい面がある

平石 個々の利用者のバックグラウンドを理解し、人生の深いところまで踏まえて対応するグループホームは認知症の人にとって安心して暮らせる施設だと思っています。

河﨑 生まれ育った土地で、人間としての尊厳を失わず、満足した人生を送る。そのお手伝いをしていくのが、我々の会の理念です。

平石 小規模で家庭的なことも良い点ですね。

河﨑 1ユニット9人までですから、毎日同じ顔触れがいるという安心感があります。

平石 小規模であるがゆえの良さがある半面、経営的には難しさがあるのではないでしょうか。

河﨑 おっしゃる通りです。小規模多機能型居宅介護などを組み合わせているところはいいのですが、グループホーム単体だと厳しいですね。

平石 令和3年度介護報酬改定に向けた議論では生産性の向上や事業の大規模化が論じられました。これに最も合わせにくい類型かもしれません。

河﨑 今回の介護報酬改定に際しては、国にしっかり要望を行い、緊急時宿泊ニーズへの対応の充実、サテライト型事務所などを認めていただきました。

平石 グループホームの運営母体は医療法人、社会福祉法人、株式会社、有限会社、NPOと多様です。土俵の異なる人たちの意見をまとめるのは、大変だったと思います。

河﨑 運営母体が多様なことは弱点であり、同時に強みでもあります。異なる視点の意見を集約できるからです。皆さんの意に沿うよう意見を統一するのに苦労はしますが、“認知症の人への愛”という原点を共有していますので、最終的には一致することができています。

コロナ禍がいろいろな意味でターニングポイントに

平石 新型コロナウイルス感染症をめぐり、ようやく緊急事態宣言が全面解除となりました。いろいろな意味でターニングポイントになったと思います。

河﨑 まさに今、こうしてモニターを通して遠く離れた平石会長とお話ができているわけですが、新型コロナへの対応としてWeb会議システムが一気に普及しました。今週は毎日、当会の委員会があります。Web会議であればわざわざ東京に行くことなく、自室の机にいながら、皆さんの声を聞くことができます。

平石 2年前に全国老施協の会長に就任した際、Web会議の導入を提案しました。そのお陰でコロナ禍が始まってもオンライン会議が開催でき、委員会活動などに一切支障はありませんでした。

河﨑 当会でも、近く開催する全国大会をオンラインでできるようにしようと現在、ハイブリッド方式での開催準備を進めているところです。

平石 私の法人のグループホームも参加させていただきます。どのような全国大会をお考えですか。

河﨑 11月10日に福岡県久留米市で開催する予定です。参加していただければ、研究発表の内容は6か月間、当会のホームページでご覧いただけます。

新型コロナへの対応で進んだ医療と介護の組織的連携

平石 幸か不幸か、新型コロナを機に高齢者施設にスポットライトが当たり、介護事業への社会的な理解が進んだ側面があります。

河﨑 特に独居の高齢者、老々介護の世帯の人たちはさぞ不安だったと思います。こうした人たちの間で、施設に入ればきちんとみてもらえる、ワクチンも打ってもらえる、国も施設を支援している――。こうした理解が広まったと感じています。

平石 新型コロナへの対応を通して、医療と介護の組織的な連携も進みました。

河﨑 医療と介護はこれまで互いに遠慮もあり、川の対岸の者同士でしたが、新型コロナという国難に直面し、9月8日には日本医師会など医療5団体と介護3団体が団結して介護報酬・診療報酬の新型コロナ関連の特例措置の継続を厚生労働省に要望しました。平石会長がこの連携を進められ、「一緒に行きましょう」と手を差し伸べていただきました。協会を代表して改めてお礼申し上げます。

平石 介護事業者団体は介護の質を上げることに努めるべきですが、そのためにはサービスを支える職員を大事にして、やりがいや満足度を上げていく必要があります。共に介護の意味や意義、働く人たちの役割を社会に訴えていきましょう。

公益社団法人日本認知症グループホーム協会

平成10年5月に結成した全国痴呆性高齢者グループホーム連絡協議会が母体。平成21年3月に一般社団法人日本認知症グループホーム協会、平成22年4月に公益社団法人に移行。「認知症の人の尊厳の保持のもとに、住み慣れた地域で安心できる長寿社会の実現に向けて、グループホーム事業の健全な発展と国民福祉の増進に寄与すること」を目的に、認知症グループホーム事業者の全国組織として認知症の人とその家族への支援を行う。会員は現在、2,676事業所。
https://www.ghkyo.or.jp/

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