トピックス

首脳介談

〈今月の首脳介談〉

新型コロナウイルスから高齢者を守るため緊密なる連携を

2020.6 老施協 MONTHLY

ブロックや都道府県・指定都市老施協のトップを招き、介護のあり方や全国老施協との協業などを語り合う「今月の首脳介談」。第1回目は、喫緊の課題である新型コロナウイルスへの対応を中心に、社会福祉法人東京都社会福祉協議会東京都高齢者福祉施設協議会の西岡修会長と語り合いました(オンライン対談)。

西岡 修
社会福祉法人東京都社会福祉協議会・東京都高齢者福祉施設協議会 会長
にしおか・おさむ/特別養護老人ホーム白十字ホーム(東京都東村山市)施設長。介護支援専門員、社会福祉士。東京都高齢者福祉施設協議会(東京都高齢協)は特別養護老人ホームや養護老人ホーム、軽費老人ホームなど1,200を超える会員を擁する。

平石 朗
全国老施協 会長

職員の安全を確保しつついかに機能させるかが重要

平石 東京都の高齢者施設における新型コロナウイルスの感染状況について、お聞かせください。 西岡 東京都には約530の特別養護老人ホームがあります。5月末までに6つの特養と併設のデイサービスで感染が判明しました。そのうち4施設はすでに通常業務に戻っており、2施設からも新たな感染者は出ていません。濃厚接触となれば、職員は2週間の自宅待機になります。幸い大きな法人でしたから法人内で何とかやりくりできたようですが、東京都は1法人1施設の特養が150施設くらいあり、ここで発生した場合、非常に困難なことになると危惧しています。 平石 いかに職員の安全を確保しつつ機能させるか、ということでは、山梨県や福島県では地域で施設を支える動きが出てきています。そうした事例を全国の会員施設にお伝えし、さらに進化したものをフィードバックしてもらう。これが全国組織の役割だと思っています。 西岡 当協議会では近く感染を終息させた3施設にうかがい、お話を聞く予定です。この情報を全国老施協にも提供し、小規模な法人でも十分な対策を取れるよう、ご協力をお願いできればと思います。

ショート、デイサービスの稼働率低下が顕著

平石 東京都高齢協では新型コロナウイルス感染症の影響について、会員を対象とした調査を実施されたそうですが。 西岡 顕著なのはショートステイとデイサービスの稼働率の低下です。都全体で前者が約26%、後者が約25%低下しています。金額ベースではそれぞれ月あたり200万円ほどの減収です。とりわけデイサービスは、「3密」を避けるために利用を減らしたことで経営的に深刻な状況になっています。介護報酬のなかで自主休業や事業縮小に対する補填が考えられないのか、という意見も寄せられています。 平石 稼働率の低下や減収は全国的な問題であり、政治の課題ともいえるでしょう。全国老施協は各都道府県の会員の声を政治の場に伝えることに力を入れてきたつもりです。第2次補正予算でも、そのだ修光常任理事(参議院議員)を通して国にいろいろと申し入れを行いました。 西岡 全国老施協は、感染予防に役立つ情報や相談窓口などのサービスを提供されていますが、これが大きな力になりました。国から山のように通知などが出ますが、とても読み込めず、しかも行政用語もあって勝手な解釈はできません。こうした情報を咀嚼した形で提供していただいています。 平石 これまで全国老施協は情報提供などにより感染症を施設に持ち込まないことに重点を置いた取り組みをしてきましたが、次のステップは感染が発生した場合にどうするかです。第2波、第3波を想定し、各都道県に衛生用品などをきちんと一定量お渡しできる体制をつくることや、感染した場合の対応をわかりやすい動画にすることなどを考えています。 西岡 全国老施協の取り組みは随時、会員に知らせています。私たちが会員以外の施設にも情報提供することで会員を増やすことにつなげる。それにより全国老施協への理解も進む――。WIN-WINの関係性になれば、と考えています。

「8050」などの社会問題にも特養は取り組むべき

平石 東京都の社会福祉法人には、大都市ならではの課題もあるのではないでしょうか 西岡 やはり大きいのが介護人材不足です。区によっては有効求人倍率が80倍といった数字が出ています。新型コロナでこうした状況に変化が現れるのではないかとの見方も出ていますが、まったく見通しは立ちません。統計的に明らかなのは、高齢化が進んでいくことであり、高齢者の大半が経済的に困窮した層になるだろうということです。都市部の高齢者問題は今後、東京都で先鋭的な形で現れるでしょう。 平石 人と人とのつながりの面にも課題があるのではないですか。 西岡 親の年金で子どもが生活する「8050問題」を抱える家庭が増え、そのなかで高齢者の虐待の問題も出てきています。これに社会福祉法人はどうかかわっていくかを考えなければなりません。特養の仕事だけをしていけばよい、というわけにはいきません。 平石 人口構造が変化し、所得格差が広がり、社会の仕組みが変わるなか、社会的弱者のためのセーフティネットをつくらなければなりません。2年間の会長任期中に、まずは都市部の問題にきちんと取り組みたいと考えています。問題意識は共有しておりますので、これからも協力していきましょう。 東京都のことでご心配があればこちらまで