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首脳介談

〈特別編〉

他の介護関係団体や民間事業者とも連携し介護の底上げを図る

2021.8 老施協 MONTHLY

本連載では、これまで全国老施協の各ブロック理事などとの対談を行ってきました。会長として2期目を迎えたこともあり、今後は新たな展開として、介護関連の他団体や民間事業者の方とお会いし、意見交換を行っていきたいと考えています。その理由などについてお話ししたいと思います。


本連載を通じ、他団体との連携を強固なものに

全国老施協会長としての1期目、「融和と再生」を掲げて全国を回り、8ブロックの代表の皆さんと本会の活動への期待や課題について膝を交えて話し合い、定款の変更や諸規程の改正など、組織改革に努めてきました。月1回開催する正副会長・委員長会議に、各ブロックの代表の方にも参加していただける仕組みもつくりました。
本連載でも、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、各ブロックの代表などとWeb会議システムを利用したリモート対談を行い、胸襟を開いて語り合ってきました。
こうした取り組みにより、組織内に強固な信頼関係を構築できたのではないかと自負しています。
次なる段階に向け、本連載では次号から、介護関係の他団体のトップの方をお招きし、意見交換を行う場としたいと考えています。
これまでも全国老施協は他団体との連携を図っています。たとえば、令和3年度介護報酬改定が大詰めを迎えた昨年11月には、全国老人保健施設協会、日本認知症グループホーム協会、日本福祉用具供給協会の代表者、そのだ修光常任理事(参議院議員)とともに菅義偉総理と田村憲久厚生労働大臣を訪問し、介護報酬のプラス改定とPCR検査の充実を要望しました。
本連載をさらなる連携強化のきっかけの一つにできれば、と期待しています。トップ同士がつながり、団体間の良好な関係が築ければ、より大きな力を発揮できます。次期介護報酬改定を見据え、各団体の会員の意見をもとに具体的な提言について検討を加え、社会保障審議会介護給付費分科会で共同提案を行うといったことも可能になるでしょう。

昨年11月18日、他団体の代表者とともに菅義偉総理を訪問、要望書を手渡した。左から、日本福祉用具供給協会の小野木孝二理事長、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長、そのだ常任理事。右端が、日本認知症グループホーム協会の河﨑茂子会長

民間事業者とも協力し業務の標準化などを推進

本連載では、介護関連の民間事業者の方の意見もお聞きしたいと考えています。社会福祉法人と民間の営利法人は、互いに学ぶことが多いはずです。
社会福祉法人の良さは、損益に縛られずに仕事や事業を考えられるという点にあるでしょう。遠く離れた場所まで車で迎えに来てくれる。長話にもとことんつき合ってもらえる。こうした対応は高齢者にとって大切なことです。
業務の生産性向上を図っていくことは重要なことですが、社会福祉法人は労働生産性と異なる高齢者福祉の“付加価値”を追求すべきです。そうしたセーフティネットとしての役割を果たすことが期待されているからこそ、非課税という特権が与えられているのです。にもかかわらず、独占的な地位に甘んじて社会貢献に後ろ向きでは、イコールフッティングの議論を避けられません。
特に行政が計画的に整備する特養の場合、競争原理が働かず、いまだにサービス業としての感覚が乏しいところも見受けられます。規制に守られ、国が定めたルールに従うことに慣れるあまり、どこかに措置時代の名残が残っていないか、顧みる必要もありそうです。
その点、民間事業者は高齢者が何を求めているのか、ニーズを常に考え、サービスのあり方の追求において先行しており、学べることが多々あるはずです。
民間事業者は切磋琢磨する競争相手であり、同時に職員配置の弾力化や文書の簡素化といった政府への要望において足並みをそろえられる存在です。介護業務の標準化についても協力できると考えています。利用者が不利益を被らないためにどうすればいいのか業務のスタンダードを検討し、全国どこでも一定の水準のサービスを保証することで、介護サービスに選択肢がない地域でも利用者が低品質のサービスに甘んじるような状況がないようにしていかなければなりません。

現場に直結している強みを合理的な制度づくりに活かす

他団体や民間事業者との連携を図るのは、自分たちに都合のいいようにしてもらおうという私利私欲の目論見からではありません。介護現場に直結しているという我々の強みを活かし、いわば合同のシンクタンクとして、本当に合理的な介護制度をつくっていくためです。政府もそうした活動・役割を期待しているはずです。
全国老施協として、こうした活動の指針とすべきものが、「老施協ビジョン2035」で掲げた「現場のために」「人のために」「社会のために」という3原則です。
全国老施協は、今期(令和3-4年度)の活動の重点事項の一つに「介護現場の革新」を掲げています。日本の介護を崩壊させないため、介護現場が持続的に成り立っていくよう努めていかなければなりません。財務当局としてはICTの導入などで介護の効率化を図りたいのでしょうが、それだけでは人材確保の問題は解消されません。
他団体・事業者と連携し、働きやすい労働環境にする。介護職を魅力ある仕事にして介護の底上げを図る——。こうした活動に尽力していきたいと考えています。
本会の定款の目的には「老人福祉及び介護事業の健全な発展と国民の福祉の増進に寄与する」と記しています。
会員施設・事業所の事業存続に向けて、全国老施協は介護現場を支える組織、そして現場の職員の皆さんを支える組織であり続けます。皆さんには、安心して高齢者を守り、地域社会に貢献する存在であり続けていただきたいと思います。