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〈特別対談〉

介護の仕事をしている人は、みんなキラキラしていて魅力的

2021.7 老施協 MONTHLY

『ケアニンShort Films』の公開を記念して、プロデューサーの山国秀幸さんと本企画の発案者である全国老施協の加藤茂博理事に、作品への思いなどについて語ってもらった。

山国秀幸(やまくに・ひでゆき)

山国

映画プロデューサー/メディアプロデューサー。『ケアニン』シリーズ、『ピア〜まちをつなぐもの〜』、『天使のいる図書館』『あしたになれば。』などを手がける。株式会社ワンダーラボラトリー代表取締役

加藤茂博(かとう・しげひろ)

加藤

全国老施協理事。株式会社リクルートキャリア事業開発室ビジネスプロデューサー。一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会副代表理事

映画のスタッフが奇跡的に再集結

加藤 全国老施協は、介護業界が人材確保に苦慮していることを踏まえ、業界のイメージアップについても常に議論しています。そうしたなかで『ケアニン』を知り、映画で介護の魅力を伝えようとしている方々と手を組んでみてはどうでしょう、と理事会で提案したことから、今回のコラボレーションの話がスタートしました。

山国 『ケアニン〜こころに咲く花〜』の試写会には70人くらいの理事の方々にお集まりいただきました。1作目は小規模多機能型施設を舞台にした話だったので緊張しましたが、上映後、多くの方からお褒めの言葉をいただき、非常に手ごたえを感じたのを覚えています。

加藤 そもそも山国さんは、なぜ介護の仕事に魅力を感じられ、映画化することになったのですか?

山国 最初はビジネスとして、介護を魅力的に取り上げた映画をつくれば、上映の機会が広がるのではないかと考えました。介護は大変で、つらい仕事というイメージだったのですが、取材を始めてみると、みんなキラキラしていて魅力的で、イメージがガラッと変わったのです。これを多くの人に知ってもらうことは、とても意味があることではないかと思い、介護に特化した映画をつくっていこうと決めました。

加藤 介護の魅力は言葉ではなかなか伝わりにくいのですが、映像は感じたり疑似的に体験したりできるので、発信の仕方としてはとてもいいですね。全国老施協は公益法人ですから、今回のショートフィルムは介護業界のあらゆる関係者に自由に使っていただきたいと思っています。

山国 今回の作品には奇跡的にも、監督の鈴木浩介さんや主演俳優の戸塚純貴さんなど、オリジナル作品と同じスタッフの多くが参加しています。やはり公益法人とのコラボということは大きかったと思います。映画『ケアニン』は介護に関係する方々が上映会をしてくれたおかげでシリーズ化できているので、今度は我々が応援する番というか、恩返しのつもりでつくりました。

一般の人たちの目線で介護を描いていく

山国 ショートフィルムは、無料で誰でも観られるという点がいいですね。気軽に見ることができ、シェアもしやすいので、今の時代に合っていると思います。

加藤 「一回観てみてください」と言えるのは大きいですね。観て、感じてもらうことで、介護業界の魅力は、もっと伝わっていくのではないでしょうか。

山国 介護の仕事は、一般的にはマイナスのイメージからのスタートになると思います。ショートフィルムの「新人介護職編」では、主人公が「別にやりたい仕事じゃなかった…」とネガティブなところから始まるのですが、実際に働くなかで気持ちが変わっていく瞬間を描いています。「サラリーマン転職編」でも、生活のためにこの仕事を選ぶのですが、結果的に生きることを学んでいきます。そのプロセスは、介護の仕事に興味がなくネガティブなイメージを抱いている人でも、はっとするのではないかと思います。できるだけ一般の人たちの目線で描くことにこだわり、先入観にとらわれずに観てほしいと考えているので、セリフに「介護」という言葉は入れていません。

加藤 介護業界のイメージを分析すると、“お世話をする仕事”だと思っている人がほとんどです。

山国 取材してみると、全然そうではありませんでした。それどころか、「利用者さんから人生について教えてもらうことが多い」という話を聞いたときには、感動しました。看取りについても、「大変だけれど、自分自身も生き方を学んでいます」と言われて、自分が誤解していたことに気づかされました。
若い人がお年寄りを助けるのではなく、お年寄りの生き方をそばで見ながら自分の人生をどう生きるかを学んでいくというのは、素晴らしいことです。目の前がパッと開けた気がしました。

介護のイメージが変わってくる日を信じて

加藤 最後に、介護職員への応援メッセージをいただけますか?

山国 以前、海上保安庁の訓練学校を取材した番組を観ていたとき、「なぜ海上保安官をめざしたのか」という問いに対し、全員が「『海猿』を観たから」と答えたのです。映像の力はすごい、と思いました。映画で海上保安官の見え方がガラッと変わったのですから、介護の仕事にもいつかそういう日が来ると信じて、作品をつくり続けていきたいと考えています。
取材で知り合った介護職員の皆さんには、人を思うやさしい気持ちがベースにありました。我々はそうした思いを映像にして多くの人に観てもらう機会をつくっていきますので、その気持ちを持ち続けて寄り添っていってほしいと思います。