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【新型コロナ】急ピッチで進むワクチン接種 高齢者施設での面会制限等はどうなる

2021.7 老施協 MONTHLY

コロナ禍で、高齢者施設はクラスターの発生を防ぐため家族などの面会制限を余儀なくされている。こうしたなか、高齢者や高齢者施設の職員を対象とするワクチン接種が急速に進んでいるが、全国老施協には介護現場から「面会の取り扱いをどう判断すればいいのか」「市や県に問い合わせても、明確なことがわからない」といった声も届いている。
※本記事の内容は、6月30日現在の情報に基づいています。

ワクチン接種にあたっては本人の意向確認が必要

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が本格化し、6月30日時点で、高齢者を含む一般接種は3,000万回を超えた(内閣府調べ)。
ワクチン接種の優先順位は①医療従事者、②65歳以上の高齢者、③高齢者以外で基礎疾患のある人・高齢者施設などの職員、④12歳以上の一般の人とされている。クラスターを防ぐため、自治体の判断で高齢者施設等の職員等への接種を65歳以上の高齢者と同時期に行っているところもあるが、高齢者施設としては、次の点に注意したい。

  • ワクチン接種を利用者や職員に強制したり、強引に勧めたりするようなことがあってはならない。
  • 接種の意向確認を行う際は、個々人の意向が周囲の人たちにわからないよう配慮する必要がある。
  • 接種を拒絶した職員に対する不当な扱いもあってはならない。

十分な感染対策を講じ事例を参照して面会を実施

コロナ禍において、高齢者施設は面会の取り扱いに苦慮しているが、全国老施協に、ある高齢者施設から次のような声も届いている。
──ワクチン接種が進み、施設の高齢者の方々は2回目を終えつつある。1年半にわたり面会ができていない。入居者が不憫だ。検温、マスク、消毒で十分なのではないか。施設としては、どう判断していいのか難しい──

こうした声を受け、厚生労働省に問い合わせたところ、「これまで事務連絡や感染対策の手引き等をお示しし、地域の感染状況に鑑みた面会の制限等の感染対策を講じていただいているところ、引き続き、面会の実施方法を含めて十分な感染対策を講じた上で、サービス提供を行っていただきますようお願いします。面会については、現在でも感染対策を行った上で実施している施設もあり、事例として紹介しているところです」ということだった。

厚生労働省は3月9日の事務連絡※1で「高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症に関する事例集」を示し、「新しい生活様式を取り入れた面会」としてリモート面会やガラス越し面会などの実施例を紹介している(図表1)。基本的に、これらの実施例などを参考にした対応を検討することが必要となる。

※1:介護施設・事業所等における新型コロナウイルス感染症対応等に係る事例の共有について(介護保険最新情報Vol.928)(3月9日)
新型コロナウイルス感染症感染者が発生した介護施設・事業所等における対応等をもとに、今後の対応例や事例からの学びを整理している。

図表1

厚労省の示す「退院基準」を踏まえて積極的な対応を

参考となるのが感染者の「退院基準」だ。厚生労働省は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(2月25日)を踏まえ、2月26日の事務連絡※2で人工呼吸器等による治療の有無により改正した退院基準を周知した(図表2)。あわせて改正したQ&Aでは、退院基準を満たして退院した後の活動制限などは設けておらず、過去に感染したこと等を理由として訪問や面会を断るなど他者と異なる対応を行うことは望ましくないとして、感染したことのない人と同様の対応を行うよう求めている。
厚生労働省の示す退院基準を踏まえ、しっかり対策を講じたうえで、退院患者を積極的に受け入れることが望まれる。

※2:新型コロナウイルス感染症患者の退院基準について(2月26日)
退院患者を施設で受け入れる際の「退院基準」について、改正した取り扱いを示している。

図表2