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いつもココロをフラットに

第9回 プライベートな悩みで仕事が手につかない……

2022.02 老施協 MONTHLY

健康社会学者として多彩な活動を行う河合薫さんが、日々、奮闘する介護現場の皆さんに、応援メッセージを贈ります。

当たり前の日常があなたを救う

「失恋休暇」って知っていますか? 「失恋して傷ついた社員」を応援するためにできた制度で、年齢が高いほど休める日数が多くなるとか。会社がプライベートを心配してくれるのは嬉しいけど、少々お節介な気も。心に傷を負い、気もそぞろで仕事をされるくらいなら「休め!」ってことなのでしょう。

「人生において大切なことは何か?」と問われ、「愛することと、働くことだ」とそっけなく答えたのは、精神分析学の創始者G・フロイトです。愛することに支障を来すほどに働いてはいけないけれど、愛することだけ(余暇・家族や恋人との時間など)に没頭して働くことを忘れると、ひどくつまらない人生になる——。

たとえ「体」は働いていても、そこに「心」あらずでは困りもの。うっかりミスが大きな事故につながり、取り返しのつかない事態になることも。でも一方で、仕事があるからこそ「愛」の悩みが和らぐことも少なくありません。やらなきゃならない仕事に没頭してる間は、感情の蓋が閉まり嫌なことを忘れられます。自分には出社する場所がある、受け入れてくれる場所がある、いつもの仲間といつもの空間でつながっている——。そんな日々の当たり前=ルーティンに救われるのです。

ルーティンは「2人以上のメンバーを巻き込んだ観察可能な日々の反復性のある行動」のこと。人間は周期性、規則性のある行動を好むので、1日のリズムが他者と共にあると、肉体的にも精神的にも安定します。会議や打ち合わせ、仕事の段取りを部下や同僚と共有したり、ランチを共にするのもルーティンです。そんな代わり映えしない日々の繰り返しが、実は「生きる土台」になっているのです。
失恋、子供の進学、親の介護、生きていれば愛の悩みはつきません。でも、そんな時こそルーティンを大切に。休むのもいいけど、働くのもグッド!

河合薫・健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。

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