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いつもココロをフラットに

愚痴、陰口を「7掛け精神」でやり過ごす

2021.12 老施協 MONTHLY

健康社会学者として多彩な活動を行う河合薫さんが、日々、奮闘する介護現場の皆さんに、応援メッセージを贈ります。

愚痴や陰口に怒りが湧き上がってきたら、相手を持ち上げて心のバランスを取りましょう。

相手を認める一方で期待値も下げる

かつて給湯室は女性社員が元気になる“秘密の花園”でした。お茶を淹れながらオフィスでは口外できない上司への不満を笑いに変える魔法の部屋だった。物理的にも精神的にも余裕ある時代の愚痴は、社員を共感でつなぐ道具になっていたのです。しかし、余裕なき現代社会の愚痴はユーモラスさを欠き、周囲の人たちを不機嫌にさせます。健康社会学的には愚痴もストレスの雨に対峙する傘の一つですが、コミュニケーション受難時代での愚痴は、新たな雨を降らす行為に成り下がってしまうのです。

でも、ムカつくこと、ありますよね。自分が一生懸命になればなるほど怒りの沸点が下がるし、こちらが我慢すればするほどつけあがる輩もいる。理不尽の坩堝にやる気が失せることもあるかもしれません。そんなときは「7掛け精神」で乗り切りましょう。

これは相手への期待を7掛けにする人間関係構築術です。「もともとそういう人だし」と期待値を下げれば不機嫌を深い諦めに変換できます。“深い諦め”とは、自分の価値観と相手の価値観の違いを認め、自分の常識を相手に押しつけないこと。自分の価値観で相手を見ようとするから、「アイツは理解できない、困ったやつだ」と非難したくもなるし、ストレスもたまる。「理解できないのは当たり前。だって違う惑星の人だから」と、深く諦めれば少しだけ楽になる。その上で相手の「ここだけは」という部分を認めることが、惑星人との関係づくりに必要なのです。

そして、「7掛け精神」の残りの3割で「自分が傘を貸せることはないか?」と自問してください。実は人間って「自分に甘く、他人に厳しい」ことが科学的に確かめられているのです。これは「平均以上効果」と呼ばれる心のメカニズムで精神的余裕のなさとも関連しています。ときにはマザー・テレサ気分でぜひ!

河合薫・健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。

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