プレミアム

いつもココロをフラットに

職場でいじめにあったときに頼りになる人

2021.11 老施協 MONTHLY

健康社会学者として多彩な活動を行う河合薫さんが、日々、奮闘する介護現場の皆さんに、応援メッセージを贈ります。

他人に注意する際は、「目的」の共有を意識して。そうすれば人間関係を壊さずにすみます。

「ナナメ関係」にあるオバちゃんのパワーに期待

大人世界のイジメほど陰湿なものはありません。イジメとはパワハラ。「指導との境界線が難しい」とのたまう人が後を絶たない卑劣な行為です。中には「愛があればパワハラにならない」と過去を懐かしみ、「される方にも問題がある」と自己責任論にすり替え、「あれはパワハラじゃない」と勝手に線引きをする人もいます。が、そんな理屈はもう通りません。ましてや「見て見ぬふり」する傍観者もパワハラに加担しているのと同義です。

とはいえ、パワハラを告発するのは勇気がいるし、できれば大きな問題にしたくない。そういう時には「ナナメ関係SOS」を発信し、加勢してもらってください。ナナメ関係とは「職場で直接的な関係のない人間関係」のこと。私たちの心は日常的に起きている出来事に対し、「慣れる」というメカニズムを持ち合わせています。つまり、客観的に見れば明らかに「おかしい」ことを「おかしい」と認識できなくなってしまうのです。

でも、ナナメ関係の人なら大丈夫。組織を変えたきゃよそ者、若者、バカ者を活かせ!と言われるように、よそ者の「鳥の視座」が役に立ちます。できれば男性より女性、若手よりベテラン社員。頼れそうな「オバちゃん」に傘を借りてみてはどうでしょう。オバちゃんの最大の強みは相手の懐に入り込むコミュニケーションのうまさ、いわゆる「おせっかい」です。子育てや介護など人生経験の豊富さからくる解決策には、「組織の論理」を打破するパワーが期待できます。職場にオバちゃんがいなければ、「オバおじさん」に、オバちゃんが多い時は「みんなのお母さん」に頼ってください。

そして、パワハラは個人の問題ではなく「パワハラを生む職場環境の問題」ということをお忘れなく。長時間労働、時間の切迫、悪い人間関係が社員の心をザラつかせます。パワハラをなくせば職場が元気になるわけじゃありません。元気な職場にはパワハラはないのです。

河合薫・健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。

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