プレミアム

いつもココロをフラットに

「どう褒める」と考えすぎていませんか

2021.8 老施協 MONTHLY

健康社会学者として多彩な活動を行う河合薫さんが、日々、奮闘する介護現場の皆さんに、応援メッセージを贈ります。

「お互いを認める関係」をつくることが先決。そうすれば、褒め合う言葉も自然に出てきます。

部下を伸ばすには“褒める”が絶対!?

私はいつまで盛り上げ役に徹すればいいのでしょうか―。ある管理職がこう嘆くと会場全体が共感の渦に包まれました。「褒めて伸ばすとか無理」「自信過剰な部下だらけ」「ちょっと指摘しただけで落ち込む」等と大盛り上がり。「豚もおだてりゃ木に登る」とばかりに滅多矢鱈に褒めるが賞賛される一方で、「褒めても育たぬ不満」が鬱積していたのです。

そもそも「褒めれば育つ」は嘘です。そりゃあ誰だって叱られるより褒められたい、褒められたほうがやる気も出る。しかし褒めることだけを称賛する社会は他者評価に依存する人や自己過信する若者を量産しかねません。人は自分のだめな部分を知ってこそ成長します。人は完璧じゃないという真理を知るからこそ、学ぶ意識が高まるのです。

私は褒めることは否定しませんが、それ以上に大切なのは、互いを認めることだと考えています。新人であれ、若手であれ、ヒラであれ、「一人の立派な社会人」として敬意を払い、部下がきちんとやっていれば「いいぞ」とメッセージを送り、壁にぶつかっていれば「どうした?」と声をかけ手ほどきする。仕事に役立つ情報や知識を伝える「インフォメーション上司」に徹すればいいのです。部下は隣に上司がいてくれる、一人きりじゃないという安心感を持ててこそ、「しっかりしなきゃ」と意識を高めます。そういう日常があれば上司は自ずと褒める瞬間に出会い、自分の言葉で部下を褒めることができます。部下と喜びをともにすることこそが、最高の褒め言葉を生むのです。

そして、同僚とは「戦友」として愚痴を言いあってください。自分の弱みを見せてください。三人寄れば文殊の知恵というように、1人で解決できないことでも3人集まればなんとかなる。上手くいった時には互いを褒め称えてください。年を重ねると褒められる機会が激減するので、「褒め友」を是非!

河合薫・健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。

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