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いつもココロをフラットに

やりがいを失わない「9対1の法則」

2021.7 老施協 MONTHLY

健康社会学者として多彩な活動を行う河合薫さんが、日々、奮闘する介護現場の皆さんに、応援メッセージを贈ります。

モヤモヤ解消!やりがいを見失いそうになったら、1割に全集中。やりがいの神様はちゃんと見ています。

言語明瞭・意味不明の4文字の呪縛

「やりがいのある仕事をしたい」「やりがいが感じられないので辞めます」等々、やりがいという言語明瞭・意味不明の4文字が多用されるようになりました。確かに今日の仕事に充実感を覚えると、「明日も頑張ろう」とエナジーが充電されます。しかし、やりがいとは何なのでしょうか? なぜ、私達はやりがいを求めるのでしょうか?
認知機能や足腰が弱った高齢者でも介護の善し悪しで状態が改善する。それがやりがいであり、プライドだった。でも、今は仕事をこなすことに精一杯で自分が求める介護ができない。人手不足で息つく暇もなく、自分が何のためにいるのかもわからなくなってしまった――。
コロナ禍で介護現場が逼迫する中、ある介護職がこう嘆いていました。このように、やりがいとは目の前の仕事に最善を尽くすことで抱ける感情です。仕事をこなすだけだと感情は消え、仕事の意味も自分の存在意義も見失いがち。仕事へのプライドがあればあるほど、理想と異なる働き方に嫌気がさしてきます。
そういうときは、すべてを完璧にやろうとせず、9割の仕事をこなす一方、1割の事で完全燃焼するようにしてみてください。名づけて「9対1の法則」です。たとえば、お部屋に訪問したときだけ無駄話で利用者さんを和ませてみたり、挨拶するときだけ最高の笑顔をしてみたり、着替えのサポートのときだけ「素敵」と褒めてみたり…。
1割をトコトンやるだけでも「貴方がいてくれて良かった」という嬉しいメッセージは必ず届きます。やりがいの神様がご褒美をくれるのです。身体的にも精神的にも余裕がなくても「9対1の法則」で完全燃焼すれば、自然とスキルアップでき、新たな目標も見えてきます。やりがいの神様は決して裏切りません。ちょっとだけ頑張って。1割に全集中で!

河合薫・健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行っている。

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