速報

〈コラム〉

認知症BPSDケアプログラムにおける取り組み実践事例⑩

JS-Weekly No.824

「このプログラムは職員の考える力をつける」

BPSDケアプログラムインストラクター 勝俣 洋子
特別養護老人ホーム等々力の家・下馬の家 介護支援専門員

2018年に日本版BPSDケアプログラムDEMBACE研修を受けた。
行動心理症状の12項目をグラフで数値化し、症状の背景にある真のニーズにケアの焦点を当てることで根本の解決になるのではないかと期待した。
早速、勤務先の特別養護老人ホームのご利用者で介護に強い拒否のある方に、介護職を含む多職種で実施した。NPI評価では行動心理症状の興奮・夜間不眠など8項目が当てはまり45点、背景要因から、周りの利用者と交流がないに焦点をあてたケアを考えた。他のご利用者と直接関わらないが周囲を観察して、困っている様子や危険なことを見つけると職員に教えてくれる気配りに感謝を伝えるために、基本的な対応は「ありがとう」と声を掛けることにした。
2回目のNPI評価は4項目8点まで下がり、他のご利用者とおしゃべりやゲームを楽しまれ介護への拒否も少なくなった。数値が下がったのは自分たちのケアがご本人の望むものだったことへの結果という、効果を実感できたことは職員の喜びとやる気を起こさせた。
また、簡単なケアだが全員が同じ対応をすることがこれほどの効果があることに驚いた。
NPI評価、背景要因、ケア計画、ケアの実施の4ステップについての話合いは、時間調整と手間がかかるが、ご利用者への理解を深め、その方の望む効果的なケアを見つける確実な方法だと思える。
定期的な話合いは新人や外国人職員にも加わってもらう。NPI評価は行動心理症状の客観的な評価ができる力、背景要因はご利用者の日頃の様子を観察・分析する力になっている。情報交換は的確なケア計画を考えるヒントとなって職員の人材育成にも役立っている。
近頃は施設に入所したばかりで、激しい行動心理症状のご利用者が、評価前に症状が減ることが多くなった。繰り返し行っていたケアプログラムの内容が職員の身に付き無意識に分析、ご利用者の望まれるケアを行っているのではないかと思う。それでも話合うことはチームで同じ目線、同じケアを提供する確認のために必要な時間だと考えている。