速報

〈コラム〉

認知症BPSDケアプログラムにおける取り組み実践事例⑥

JS-Weekly No.820

「BPSDケアプログラムを活用して」

BPSDケアプログラムインストラクター 奈良田 敬
医療法人社団 永生会 法人本部経営企画部 主任

第6回コラムでは

本号では、前回( Vol.819( 2022年2月25日) )掲載コラムでの、「 ③ニーズを踏まえた『ケア計画』の策定」の次のステップとなる、「 ④計画に基づくケアの『実行』」について記載しております。

「計画に基づくケアの『実行』」について

このステップでは、関わる方々みなで立案した計画について1か月から2か月程度の間実施していき、計画の実施後、再度ステップ1に戻り「再評価」を行っていきます。
再評価の際に、NPI-NHの点数が下がっていれば、立案したケア計画は対象者のニーズにあっていたと判断できます。点数が下がらなかった場合は対象者のニーズにあっていないということになり、さらに背景要因の分析を深め、これまで立案してきたケア計画とは異なるものを立て、ケアを実行して・・・というように、再度①~④のサイクルを回していくことになります。

実際にBPSDケアプログラムを活用してみて、活用する前はBPSDに対してその場しのぎの対応が多くみられ、ご本人が抱えている根源にある要因を認識できず、各スタッフの感覚に頼るケアが多くみられました。BPSDケアプログラムを実施してみて、まずは事実を基にNPIで評価し、背景要因のチェックリストでご本人のニーズを分析し、その満たされていないニーズに対応するためのケア計画を作成し、チームで共有することにより、ケアの統一を図ることが出来ました。例えばAさんのNPI評価で興奮、不安、易刺激性・不安定性、異常な運動行動が確認されたとき、背景要因の分析をした際に発疹や痒みがある、身体の痛みがありそう、身体の不快感がありそうなど様々な要因が考えられました。その背景要因の分析を深めていくと、背中など乾燥肌で痒みがあるかもしれない、右手首に痛みがあるかもしれないことに気づきました。乾燥肌に対しては、お風呂上がりに保湿クリームを塗る、右手首の痛みについては、左手を使ってもらうよう声かけを行うことや、定期受診時に医師に確認してもらうようにしました。
このようにBPSDケアプログラムを活用することで、スタッフ間でケアの統一を図ることが出来ました。ケアを統一し対応できたことで、Aさんの興奮や不安などが減り、Aさんのストレスが減少したことが一番の成果だと感じました。また、事実を基に分析することは、アセスメントでありスタッフが感覚でおこなっていたケアが、根拠のあるケアとなりました。このことからスタッフ教育としての効果も大きいと感じました。
ただBPSDケアプログラムでは、ご利用者、スタッフなどに大きな成果や効果があることは間違いありませんが、その過程が不慣れなため初めの2回くらいは話し合いや入力作業に時間がかかりました。1回目、2回目は1.5時間から2時間程度かかりましたが、3回目以降は30分程度で終わりました。
新たなプログラムを実施するにあたり人手が足りない、時間がないなど抵抗はあるかもしれませんが、まず百聞は一見に如かずで、実際に1名からでも良いので取り組むことをお勧めいたします。しっかりと効果が分かるプログラムだと思いました。