速報

〈コラム〉

認知症BPSDケアプログラムにおける取り組み実践事例③

JS-Weekly No.817

「認知症の人のためにできることがあると思えるプログラム」

第3回コラムでは…

Vol.816( 2022年2月4日)掲載のコラムでは、認知症BPSDケアプログラムの具体的な実施内容等についてお伝えしましたが、今回から第6回(Vol.820 2022年3月3日)にかけて、「ケアプログラムを実施する上での4つのステップ」について1つずつ取り上げてまいります。
第3回では、「 ① NPI評価尺度を用いたBPSDの『観察・評価』」について記載しております。

NPI評価尺度を用いたBPSDの「観察・評価」について

ここでは、BPSDをチームで評価する部分となります。このステップでの目標として、「SOSを見落とさない」ことが重要とされています。BPSDはSOSのサインと捉え、そのサインを見落とさないようにすることです。そのためには、それぞれの職員が思い描いているBPSDの統一、評価基準の統一をすることが必要となります。
そこで、ある程度網羅的にBPSDを評価できるということや、チームで複数の人と議論しながら評価していくことができるという観点から、評価尺度として「NPI-NH」を使用し、BPSDの評価を行っていきます。
また、NPI-NHを使い、症状について評価をしていくため、問題行動を評価しているという認識に戻りがちですが、問題行動の評価ではなく、その方のニーズに適した環境やサービスが提供できているかを評価するものとなります。そのため、ニーズと環境が適切でないことによって起こるのがBPSDとなります。


BPSDケアプログラムインストラクター 中西 三春
東北大学医学部・医学系研究科 精神看護学分野 准教授

「認知症を治すことはできなくても、認知症の人を幸せにすることはできる」
誰の言葉だと思いますか?研究者でも哲学者でもなく、また何か特別な資格を持っている専門家でもない。ケアの第一線にいる介護スタッフの方の言葉です。
私は東京都医学総合研究所で、認知症の行動・心理症状に対する心理社会的なケアを推進する東京都の事業に携わってきました。私たちのチームは諸外国で導入されているケアプログラムをいくつか視察して、最終的に、スウェーデンのBPSDケアプログラムにたどり着きました。これを原型に、東京都モデルとして開発したものが、日本版BPSDケアプログラムです。
冒頭の言葉は、海外視察でケアプログラムを実際に行っている介護スタッフから聞いたものです。ケアプログラムを始める前は、「認知症」は「(治療法のない)病気」だからどうしようもない、介護スタッフには何もできない、と無力感を覚えていた。その同じ人がケアプログラムを通じて、自分にできることがあると知ったのです。
ケアプログラムが答えをスタッフに授けるのではない。利用者さんの声にならないニーズを、チームのみんなで情報を拾い集めて考える。そうして考えて行ったことが、利用者さんを実際に幸せにできたかどうかは、行動・心理症状の変化が教えてくれる。BPSDケアプログラムは、このプロセスをお手伝いします。答えはいつでも利用者さんの中にある。スタッフは利用者さんに向き合って答えを探す。これこそ人が人をケアするということの原点であり、人の幸福に寄与するものだと信じています。