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チームのチカラ

【INTERVIEW】井手直行/株式会社ヤッホーブルーイング代表取締役社長

2021.6 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今回は、チームビルディングを重視した組織づくりで、自社を「働きがいのある会社」ランキングの常連企業に育て上げた株式会社ヤッホーブルーイングの井手直行社長に、良いチームワークをつくる秘訣などを聞きました。


メンバー同士が深く知り合い凹凸を補完し合う関係構築が良いチームづくりの秘訣

「クリフトンストレングス・テスト」で上位5つの資質を見える化

「まず自分が変わる」ことからチームワークは生まれる

大手コンビニなどに並ぶ「よなよなエール」や「僕ビール君ビール」などの製造・販売を手がける当社では、社員が最大限の力を発揮できる「チームワーク」を重視した組織づくりをしています。そうした方針は、売り上げの向上や、「働きがいのある会社」ランキング※に今年で5年連続で選出されるなどの成果を上げています。
チームワークを意識し始めたのは、2008年の社長就任時から。赤字続きで社内の雰囲気が悪く、全員をチームとしてまとめる必要性に迫られたことがきっかけです。そこで、当時評判だった「楽天市場」のチームビルディングプログラムに参加し、そこで得たノウハウを当社に合う形に落とし込みました。
チームワークの良い組織であるためには、①まず自分が変わる、②メンバーがお互いを理解する、③メンバー同士の強みや苦手を補い合えるチームをつくる——という3つのステップが必要だと考えています。
①は、「自分は、その気になれば今からでも変えられる」というマインドに基づいています。元来、悪いチームほど、不具合の原因を他人に押しつけてしまうもの。よく考えると、他人を変えることは難しいわけで、それならば自分が変わり、事態を好転させるしかない。それをチームづくりのスタートにするべきだと考えています。
②の社員同士がお互いの資質や考え方を知っておくことも重要です。そのために当社では、米ギャラップ社の「クリフトンストレングス・テスト」を導入しています。これは、決められた質問から個々の資質を割り出すシステムで、「戦略性」「責任感」「指令性」など、その人の34の資質を強い順に見える化するものです。その結果を見せ合うことで、お互いの性格や強み・弱みを知っていくわけです。
そして、そういった土壌をつくったうえで、③の「メンバーの強みや苦手」=「凹と凸」をチームで補完し合うよう後押しします。そうすることで、「彼はこの部分が得意だから任せる」「彼女はこれが苦手なので、自分がサポートする」といった意識が自発的に育ち、社員のモチベーションも上がっていきます。
一方で、社内での役職に準じない「フラットな関係性」も重視しています。よく社員に言うのは、社長といっても「社長という役割」を担っているだけ、ということ。つまり会社には、広報や商品開発など、それぞれ果たすべき役割があり、そこでは「誰でもリーダーになれる」のです。こうした関係性が結果として、社内の雰囲気向上にも結びついていると思います。

※ 「Great Place to Work Institute Japan 」(株式会社働きがいのある会社研究所)が参加企業のアンケート結果を点数化し、一定レベルを超えた会社を「働きがいのある会社」として毎年、公表するもの。ヤッホーブルーイングは「中規模(従業員100~999人)部門」で、2017年から5年連続でランクイン中

まずは“2人”からチームづくりを始めてみる

介護業界でも「チームづくりや人間関係が難しい」という声を聞きます。ひとつ言えるとするなら、一度に何十人ものチームワークを考えるより、まずは自分と近しく信頼できる相手、つまり“2人”という最小単位から着実にチームをつくっていくことをお勧めします。
自分の信頼できる人から協働関係を積み上げ広げていけば、その関係性は他の職員にも伝わり、全体の雰囲気として定着していくはずです。これを第一歩として、より良いチームづくりに踏み出してもらえればと思います。

井手直行/株式会社ヤッホーブルーイング代表取締役社長

いで・なおゆき
株式会社ヤッホーブルーイング代表取締役社長。
1967年生まれ。国立久留米高専卒業後、電気機器メーカーに就職。環境アセスメント会社、広告代理店等を経て、97年、株式会社ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。楽天市場担当としてネット業務などを担当する。2008年、代表取締役社長に就任。クラフトビールのトップ企業に育て上げる