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チームのチカラ

【INTERVIEW】中田吉光/前青森大学男子新体操部監督

2021.1 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今回は、男子新体操部監督として青森大学を全日本学生選手権(インカレ)団体18連覇に導き、「男子新体操といえば青森大学」と言われる強豪チームに育て上げた中田吉光さんに、勝つチームのつくり方について聞きました。


各選手の主体性を引き出し、
全員が同じ熱量を持つチームをつくる

常勝チームの原点は「先見力」「準備力」「徹底力」

勝つチームづくりのために重視しているのは、求められていることは何なのかを見極められる「先見力」。どんなことにも対応できる「準備力」。そして、何かに惑わされずやり続ける「徹底力」の3つです。
何事においても新しかったものが次の年には古くなる世界で、次に求められるものは何なのかを読み取り、今足りないものをしっかりと把握して、身体や気持ちをつくり上げていく。しっかりと準備していると、予期せぬことが起きたとしても、早めに修正ができます。そして、自分で決めてつくり上げてきたことを信じて徹底的にやる。今の時代は情報があふれていて、果たしてそれが正しいのか、そうでないのかの判断は難しい。だからこそ、己を信じてぶれずに突き進むことが大切になります。
これら3つが個々に浸透したチームをつくる。それが、指導者になったときから一貫して変わらない考え方です。

指示を待つのではなく 自ら考える力をつけさせる

男子新体操の団体競技は6人と決まっています。レギュラー選手であろうが、サブ選手であろうが、常に同じ目標に向かっていないと絶対に勝てません。そして、皆が同じ熱量でなければなりません。
そのためには指導者が全員に目を配ることはもちろん、各自に指示を与えるのではなく、自分で考え、行動する力を身につけさせることが大切です。私はせっかちなのでアドバイスを与えるほうが早く楽なのですが、部員自らが考え出すものでなければ意味がありません。自ら考え、答えを自らの口で言うことを繰り返していけば、自分の判断で前に進んでいく力が備わっていきます。
1年生も4年生も関係なく、先輩に対してでも言うべきことは言う。言われたほうは素直に耳を傾ける。これは同じ熱量を持っていれば、当たり前にできることでしょう。こうした信頼関係を築いていくこともチームにとって重要だと考えています。

互いを思いやる心がプラスαをもたらす

チームにはリーダーがいれば、リーダーを支える役割の人間もいます。それぞれのパートが力を出し合って一つのものを成り立たせているというのは、新体操に限らず、どんな職業でも同じでしょう。自分の仕事をこなしているからそれでいいという考えではなく、そこにプラスαがなければ、団体競技に必要な協調性は生まれません。それは日本人らしい気遣いというか、他者を思いやる心といったものです。
将来、運動部の学生寮と介護施設が同じ屋根の下で共同生活ができないものか。生活時間帯はまったく違ってきますが、世代の異なる人と食事や会話などコミュニケーションを図ることによって、お互いが刺激を受け、いきいきしてくる。そうした環境をつくれればと思っています。

なかた・よしみつ
1966年、青森県生まれ。国士館大学で選手として86〜87年、全日本新体操選手権大会連覇。88年、指導者としてスタートして以降、指導した高校を全国大会で優勝5回、準優勝10回に導く。2002年、それまで同好会しかなかった青森大学に新体操部を創設し監督に就任。1年目で全日本学生選手権男子団体優勝。以来、前人未到の18連覇を達成し、全日本新体操選手権大会(オールジャパン)でも15回の優勝を数える。男子新体操のPRにも努める。現在は、青森大学学長補佐兼学生委員長