特集

キラリ施設紹介

社会福祉法人貞徳会
特別養護老人ホーム 川名山荘

2021.1 老施協 MONTHLY

ショートステイに理学療法士を配置
生活リハビリに多職種で取り組む

2014年開設の特別養護老人ホーム川名山荘。18年から併設するショートステイにおいて、常勤の理学療法士を中心に、多職種による「生活リハビリ」を実践しています。

地域活動の一環としてリハビリ体制を整備

名古屋市昭和区にある社会福祉法人貞徳会特別養護老人ホーム川名山荘のショートステイは、2014年にオープンしました。閑静な高級住宅街にあるにもかかわらず、ロビーには暖炉があり、中庭やテラスから季節の移り変わりを感じられ、施設名のとおりまるで「山荘」にいるような印象を与えます。法人本部長の矢留仁道さんは、「ここは利用者やご家族など、関係する方たちが利用する場所。遊び心を加えつつ、少しでも癒しや温かみを感じてほしいと、こうした造りにしました」と話します。

「地域交流を重視し、地域の声をもとに試行錯誤しながら、いろいろな活動を企画しています」と矢留さん。その一つ、ノルディック・ウォーキングは大好評で、毎回多くの人たちが参加します。「一つひとつていねいに実行しながら、魅力ある施設運営をしていきたいと考えています」
ショートステイでリハビリ体制を整えたことも、地域活動の一環です。「日常生活の一部として利用するショートステイで貢献できることは何かを考えていました。常勤の理学療法士を雇用したいと思っているときに、最適者がいると紹介されたのが平山裕己さんです。彼が来てから、リハビリが施設の魅力の一つとなりました」と、矢留さんは微笑みます。
その平山さんは、「ショートステイを利用することが、まるで“リハビリ旅行に行く”というような楽しい感覚になるのが、私がめざしているところです」と思いを語ります。
1回の利用が数日間になるショートステイの利用者は、多くの時間を自宅で過ごしています。利用中は家族にとって介護から解放される時間であり、ショートステイだからこそ、自宅の暮らしに主眼を置いた生活の質の向上につながるリハビリが提供できると考えているのです。
「ショートステイでリハビリを実践している例は、まだ少ないと思います。当施設では、筋力低下等で歩けなくなった人の歩行訓練をはじめ、オムツ利用者のトイレ動作訓練など、利用者の状態や希望に応じた対応に努めています」と、平山さんは説明します。

リハビリの成果により本人も家族もハッピーに

あるとき、91歳の要介護3の女性がショートステイを利用されました。この方は、大腿骨骨折をきっかけに介助用車いすを利用し、ほとんどの時間を自分の部屋で過ごす毎日でした。本人は「少しでも歩けるようになりたい」という意思があり、家族も「安全に歩ける方法があれば、できるだけ自分で歩いてもらいたい」と考えていました。
機能訓練をスタートするにあたり、「まず居宅訪問し、その環境や生活状況を詳しく聞きました。目標を“自宅で固定式歩行器を使って歩けるようになる”ことに設定。達成するために、短期目標を立てて順次クリアするように計画しました」と、平山さんは話します。

最初は平山さん自身が下肢筋力訓練、トイレ動作訓練などを実施。次に、介護スタッフと歩行器歩行ができるようになることに取り組んだところ、数か月で自宅で歩行器を使って歩行できるようになったのです。
本人は「誰の助けもなく歩けるようになった」、家族は「みんなで楽しく過ごせる時間が増えた」と喜びもひとしお。本人の活動量が増え、家族の介護の負担を減らすことにもつながり、「これが本来のショートステイのあり方ではないかと痛感しました」と、平山さんは手応えを語ります。

多職種連携とICT活用がスムーズな活動を後押し

こうした個別機能訓練には、理学療法士や介護スタッフ、看護師といった多職種の連携が不可欠です。「利用者を一番近くで見守っている介護スタッフの協力がなくては、実行できません。また、リハビリに対して、どこまでやっていいのかといった不安もあり、それらを解消したり、利用者の様子を共有するために頻繁にコミュニケーションをとりました」と、平山さんは説明します。
介護主任の野崎紀子さんは、「当初、リハビリへの協力には介護職員の不安もありましたが、平山さんのサポートを受けながら、徐々に慣れていきました」と明かします。
利用者には、心臓病や糖尿病といった持病を抱えている人がたくさんいます。そうした情報を共有し、危険のないように配慮して訓練を実施するためには、看護師の協力も不可欠です。
ICT化が比較的進んでいる点も、安全に個別機能訓練を進める助けになっています。すべてのベッドに「見守り支援システム」が設置され、体動や睡眠状態を把握。水分補給量や食事の内容もデータ化され、深夜や早朝、日中の様子がわかるようになっています。
加えて、許可を得たうえで居宅訪問した際に生活空間の様子を動画で撮影し、自宅での生活がイメージしやすいようにスタッフで共有・活用しています。また、施設でのリハビリの様子も動画で録画し、家族に見てもらっています。

リハビリのメリットのPRも大切な役割

平山さんは、地域のケアマネジャーや相談員とも積極的に連絡をとり、必要な情報の入手に力を入れています。「ショートステイでのリハビリのメリットを多くの人に知ってもらうことも、私の役割であると自負しています」
一時的なリハビリ施設と違い、宿泊で24時間サポートでき、自宅での生活をイメージしながらリハビリを提供できるのが一番の魅力だと強調します。「少しでも生活動作を改善したいと思っている人に、より気軽に楽しく利用していただけるようにしていきたいですね」と、平山さん今後の抱負を語ります。

社会福祉法人貞徳会
特別養護老人ホーム川名山荘

ショートステイ(定員19人)
特別養護老人ホーム(定員80人)

名古屋市昭和区川名山町6-7
TEL:052-893-7301 FAX:052-893-7302
URL:https://www.meihansou.or.jp