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チームのチカラ

【INTERVIEW】小山正彦/株式会社プリンスホテル代表取締役社長

2020.12 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今回は、社会人野球の選手として株式会社プリンスホテルに入社、11年間をチームで過ごした後にホテルの現場に入り、現在は同社代表取締役社長として8,000人近い従業員を束ねる小山正彦氏に、現場力を高めるチームづくりの秘訣を聞きました。


リーダーが現場の日々の努力をしっかり把握・評価することで、
チーム力が高まっていく

野球で培われたチームプレー重視の発想

プリンスホテルにはかつて社会人野球の名門チームがあり、野球選手として入社しました。選手を辞めた後もマネジャーやコーチとして11年間野球に取り組んだこともあり、ホテルマンとして働き始めてからも、野球で培った「チームプレー重視」の発想が仕事の原点となっています。
特に考えたのは、「いかに個人の力を発揮させてチーム力を高めていけるか」ということでした。そのためには、フロントや調理、人事、施設管理担当に至るまで、すべての職種が最大限に実力を発揮し、チームに貢献しなければなりません。野球と同様、多くの裏方が表からは見えないところで自らの役割を果たすことで、チームが機能しているのです。スタッフには、そうした考えを意識的に伝えるようにしてきました。
社長という立場になって、現場の一人ひとりのモチベーションをどのように保つかということにも気をつけています。そのためには、リーダーが現場の細かい部分にもしっかりと目を配ることが必要です。現場は日々細かい工夫をして、より良い仕事をしようと努力を重ねています。そういう部分に気づき、感謝し評価を伝えなければなりません。「常に見ているよ」と発信することで、仕事への取り組み方がより前向きなものとなるはずです。
部下とのコミュニケーションの取り方も重要です。改善点を指摘する場合は、できるだけ客観的な事実を用いて説明するようにしています。かつて、フロントやレストランの従業員に「接客中の笑顔をもう少し増やしてほしい」と要望したことがありました。その際、業務中の姿を遠くからビデオで撮り、それを観てもらうことで、本人たちは笑顔で接客しているつもりでもまだ不十分なことが一目瞭然に伝わりました。こうしたことにも、野球のコーチ時代に選手のプレーを撮影してフォームの改善に活かした経験が役に立っています。

お客様の喜びのため——この大前提を常に忘れない

ホテルの業界と介護の世界は、「自分たちの仕事で喜んでくれる人がいる」という点で共通点が多いと思います。私たちはお客様に「泊まって良かった」という感動を与えたいと考えていますし、介護の世界の方々も日々、利用者やご家族の方のために働いていらっしゃいます。ただ、長く仕事をしていると、そうしたやりがいが見えにくくなることも事実。上司に叱られたり、目先の作業に追われることで、肝心の「お客様の喜びのため」という大前提を忘れてしまう場合もあります。そうならないように常に気を配っていかなければなりません。
また、ホテル、介護ともに、地域とのつながりがポイントとなります。びわ湖大津プリンスホテルに勤務していた際、地域のPRのため、地域の障害者施設の方々と一緒にイベントに取り組んだりしました。
地域の魅力を一緒に掘り起こし、育て、発信していく——。そうすることで、お客様に足を運んでいただけると考えています。

こやま・まさひこ
1956年、兵庫県生まれ。79年、立命館大学卒業後、株式会社プリンスホテルに入社。社会人野球の選手、マネジャー、コーチを経て、33歳のときにホテル事業に配属。ホテルの現場に携わった後、2001年の大津プリンスホテル支配人を皮切りに、傘下ホテルの支配人・総支配人を歴任。06年、同社執行役員。15年、常務執行役員。16年、同社取締役常務執行役員。18年、代表取締役社長・社長執行役員兼セールス&マーケティング本部長に就任