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チームのチカラ

【INTERVIEW】﨑山 愛/社会医療法人純幸会 関西メディカル病院 看護部 教育専任看護師 副主任

2022.02 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今月は、医療現場で看護師の教育・育成に携わる﨑山愛さんに、災害ともいえるコロナ禍をチームでどう乗り切ったかなど、介護の現場でも参考になるリーダーのあり方やチームづくりの考え方について聞きました。


リーダーを支えるフォロワーの育成が、チーム力向上に不可欠

「リーダー」「フォロワー」の両輪でチーム力Up!

目的意識を共有し ぶれない判断基準を養う

一言でチームワークと言っても、何をもって良いチームワークとするのか、世界では数多くの先行研究が行われており、それを臨床看護師の世界でどう実践していくのかということをこれまで研究してきました。そのなかでわかってきたのは、良いチームワークで働く看護師は「チームでの仕事がスムーズにいくように態勢を整える」「お互いの仕事をフォローする」「メンバーが働きやすいように行動する」というチーム重視の行動をとっていることです。

当院に就職して2年が経ちますが、最初は教育専任看護師として着任しました。その後、新型コロナウイルスが猛威を振るっていたこともあって、回復期リハビリ病棟を閉鎖してコロナの軽症・中等症用に病床転換することになり、そこに副主任として入るよう要請されました。

新しいプロジェクトチームのような形でのスタートだったので、チーム力を高めていくために最も意識したことは、何のためにお互いに協力しながら仕事を進めるのかという方向性です。ここの病棟にいる意味、そのなかで私たちは何をするのか、どういう心構えを持つのか、という目的意識の共有です。いろいろな局面で判断を迫られるとき、それがなければ判断が揺らいでしまいます。

﨑山 愛

災害レベルの混乱をチームで乗り切る

当初は、コロナの軽症・中等症患者に対応する病棟としてスタートし、人工呼吸器を必要とするような患者さんは、重症患者に対応する病院へ転送する予定でした。しかし、大阪で感染者が多くなった第4波と第5波では、受け入れ先の病床が満床で重症患者さんを送り出せず、現場は一瞬パニックに陥りました。まさに災害時のような状況です。

しかし、“できる・できない”ではなくやるしかない状況のなかで、どうすればできるかということに考えを切り替えて、各々ができることを全力でやり、お互いをカバーし合いながら何とか乗り切ることができました。全員が自分たちの置かれている状況を理解することで、自然発生的な役割分担が生まれたのです。それができたのは、コロナの患者さんの命を救うという目標が共有されていたからです。

自分自身がこれまでチームメンバーとして働いてきた経験も踏まえ、チームワークやリーダーシップについて思いめぐらすとき、リーダーを支えるフォロワーの存在が欠かせないと考えています。高いパフォーマンスを示すチームには、良いリーダーシップを発揮できるようにリーダーを要所要所で支えるフォロワーの役割が不可欠です。良いチームをつくるには、良いフォロワーを育成し、メンバーがチームのことを自分のこととして考えて主体的に行動できるようにすることが重要です。

コロナ禍という大きな波を乗り越えたことで、チームとして成熟し、強くなりました。介護業界もコロナ禍の影響を強く受けているでしょうが、困難をみんなで乗り越えたときに、後で得られるものもより大きくなります。苦しいときこそ、社会的意義の大きい仕事であることを思い出し、それぞれの場所で、共に乗り越えていきましょう。

さきやま・あい/社会医療法人純幸会 関西メディカル病院 看護部 教育専任看護師 副主任

さきやま・あい
神戸市看護大学を卒業後、大阪府三島救命救急センターに就職。神戸市看護大学大学院で看護キャリア開発学を専攻し、修士号を取得後、医療療養型の真正会病院に勤務。その後、神戸市看護大学急性期看護学分野助教を経て、九州大学大学院で研究生として社会心理学を学び、現職