特集

キラリ施設紹介

社会福祉法人同心会 養護老人ホーム しおさい

2022.01 老施協 MONTHLY

「食」を通したつながりの場をつくり 独居高齢者の健康維持に貢献

大分県津久見市の養護老人ホームしおさいは、同市の事業である「とぎの輪食堂」を受託し、地域の独居高齢者の居場所づくりや栄養面の改善、身体機能の維持に取り組んでいます。

「とぎの輪食堂」の利用者の運動の様子

介護資源の少ない地域で配食サービスを展開

1972年に設立され、大分県津久見市・臼杵市で活動を行う社会福祉法人同心会。同法人が2003年に津久見市から養護老人ホーム事業の委託を受け開設した高齢者総合福祉施設しおさいは、特別養護老人ホームやショートステイ、デイサービスを併設する複合施設です。デイサービスは同市の離島でも提供しています。
施設長の小野淳哉さんは、「津久見市は大分県で人口が最も少ない市です。特に離島では介護資源がないため、配食サービスも行うなど、介護予防の拠点となっています」と話します。施設のある長目地区との関係性の構築・強化にも努め、毎年4月には花見会、8月には夏祭りを地域の方と協力し開催。「地区住民と行事などを通して交流を深めてきました。住民のなかには施設に気軽に立ち寄って話をする方もいらっしゃいます」と、小野さんは地域交流に日頃から心がけていると強調します。

津久見市伝統の'扇子踊り'

居場所確保と栄養改善「とぎの輪食堂」を開始

津久見市では、独居高齢者の居場所確保と孤食防止、栄養面の改善を目的として、2018年から「とぎの輪食堂」を市内3地区で運営しています。「とぎ」とは、友達のこと。その一つを同年11月から同施設が受託し、食事の提供やレクリエーションを実施しています。
生活相談員の冨田正和さんは、「今まで以上に地域に貢献したいと考え、受託することにしました。以前も当法人独自で地域住民に対する取り組みを行っていましたが、人員の問題で長く続けられなかったものもあり、その経験を活かしたいと考えました」と振り返ります。
そうした経緯もあることから、とぎの輪食堂は、定員6人と少人数の会員制で実施することにしました。メニュー企画や運営は、管理栄養士の中野悦子さんが担当することになりました。中野さんは、同施設に入職したことをきっかけに、地域住民の健康を守りたいという思いから、住民向けに回覧板で健康情報を提供するなどの取り組みを進めてきました。食堂の運営にあたっては、利用者とのつながりをつくることを心がけたそうです。

施設長の小野淳哉さん/管理栄養士の中野悦子さん/生活相談員の冨田正和さん

「利用者が身体的・精神的な健康を維持するためには、継続して食堂にお越しいただくことが重要です。そのため、単に食事をする場所ではなく、施設の入居者とも交流できる場所として楽しく通っていただけるよう、運動や呼吸法等の介護予防も取り入れています」
中野さんは、まず地区の住民に聞き取りをして開催する曜日を設定し、食堂開催の告知を行いました。利用者は、告知によって参加した2人と市から紹介をされた4人で、いずれも80歳代の女性です。開催は月曜日で、利用料金は1回500円としました。
開催日には、10時半から送迎車が利用者の自宅を回ります。食前に嚥下体操やラジオ体操を行い、食後には運動や栄養・健康に関するレクチャーを行います。利用者は皆、顔なじみなので、和気あいあいとした雰囲気です。

老人ホームしおさいの取り組み

食事は、施設の入居者と同じ栄養バランスのとれた給食を提供しています。利用者からは「肉料理はなかなかつくる機会がないので、うれしい」「健康を維持するのに、どういう食事をすればいいか参考になる」といった声が聞かれます。月に一度は施設の入居者の誕生会にも参加。入居者のなかには利用者ともともと知り合いだった人もいるので、「久しぶりに会えた」と会話が弾む姿が見られます。
定期的な運動を続けたことで身体機能の維持にもつながり、運転免許更新時の認知機能検査で100点が取れるようになった利用者もいます。身体機能や認知機能の低下を早めに察知し、医療機関や行政につないだこともありました。
中野さんは、「サービス開始時よりも利用者が意欲的になったと感じています。お礼に何か手伝いたいと台拭きをつくっていただいたこともあり、利用者との信頼関係ができていると感じています。また、今回の取り組みをきっかけに、介護予防推進員になりました。地域全体に目を向けながら、より良い活動にしていきたいです」と手応えを語ります。

施設の入居者の誕生会

施設の強みを活かし地域貢献を推進

とぎの輪食堂の取り組みは、施設が可能な範囲内で行うことで継続できています。現在、利用を希望する待機者が3人おり、事業を拡大していくかを検討中です。
冨田さんは、「取り組みを通して、地域の方のニーズを把握できると感じています。利用者は女性がほとんどで、男性は関心が薄い現状もありますので、より間口が広がるようにしていきたいです。施設やデイサービスにもっと早めに来てもらえれば、ADLを維持できたのではないかと感じるケースも少なくありません。今回の取り組みのように行政とも連携し、地域の介護予防に積極的に取り組んでいきたいと考えています」と抱負を語ります。
小野さんも今後の展望について、「施設で事業に取り組む強みは、ハード面が充実し、専門職が揃っているところにあります。施設自身が地域の社会資源であることを認識し、地域に貢献していかなければなりません。今後も地域社会から信頼され、愛される施設をめざしていきます」と力を込めて話します。

吉岡裕子さん/梅田悦子さん

社会福祉法人同心会 高齢者総合福祉施設しおさい

社会福祉法人同心会
高齢者総合福祉施設しおさい

(定員)
養護老人ホーム:50人
特別養護老人ホーム:70人
ショートステイ:10人
デイサービスセンター:18人
大分県津久見市
大字長目2715番地の5
TEL:0972-85-0539 FAX:0972-63-8225
http://fuku-doushinkai.or.jp/siosai.html