特集

スペシャル

年頭所感

2022.01 老施協 MONTHLY

平石 朗
公益社団法人全国老人福祉施設協議会 会長


新年あけましておめでとうございます。
年号が「平成」から「令和」に変わり、早いもので4年目を迎えることとなりました。令和4年はオミクロン株の市中感染の拡大により、新型コロナウイルス感染症の収束の目途が立たないまま新年を迎えることとなりました。高齢者福祉・介護の現場で働く皆さまには、長きにわたり大変なご苦労をおかけしていることと存じます。

さて、全国老施協では令和3年度から2か年にわたる重点事項として「介護現場の革新」を掲げ、介護現場でのICTの導入や活用、介護の生産性および労働環境の向上等に取り組んでいるところです。
具体的には、令和3年度に開始した全国老施協版介護ICT実証モデル事業を令和4年度も引き続き推進することにより、ICT導入に関する全国老施協版モデルを構築するとともに、それを全国へ普及させていこうとするものです。
ICT実証モデル事業立ち上げの背景には、介護施設における業務の複雑化や人手不足の問題などがありますが、そういった問題を解決するためにはロボットやICTを活用した業務の取り組みが必要不可欠になってきています。
平成23年度より厚生労働省、経済産業省を中心として始まったロボット介護機器開発5カ年計画においては、介護従事者の負担軽減や要介護者ご本人の自立促進等を目的とした介護ロボットの開発が進められ、実用可能な介護ロボットの開発・製品化が実現しました。また、近年は内閣府や厚生労働省を中心に、介護分野をはじめとした総合的なデジタル化の取り組みが進められているところです。

こうした流れを受け、全国老施協でも全国老施協版介護ICT実証モデル事業をスタートさせたところですが、この事業の最大の特徴は、介護を担う当事者団体が全国レベルで実証実験を行い、現場ニーズに最も合致したロボット・ICTについて徹底的な議論を行うところにあります。介護現場は一律ではなく、建物の構造やWi-Fi環境など様々ですし、介護に携わる職員集団の思いも多種多様です。そういった現場の多様性を踏まえた上で実証実験を行い、成果だけでなく課題も含め、すべてオープンにしていこうというところが特徴です。そのような過程を経て、会員施設の皆さまが真に必要とする機器等は何かということを明らかにしたいと考えています。

また、介護報酬改定への対応として、LIFE(科学的介護情報システム)を活用した科学的介護の推進にも取り組んで参ります。令和3年度においては、厚生労働省に対しLIFEの改善に関する要望書を提出しました。その内容は、①LIFE関係の手続き基準の明確化、②入力項目自体の見直し、③LIFE関連業務の負担の軽減と負担に見合った加算、④介護の質の向上に役立つフィードバックについて――の4点ですが、政策提言以外にもホームページでの情報提供やオンデマンド研修、LIFEに関する導入・加算算定状況に関する調査、相談支援窓口の開設などのサポートを行っています。

このような取り組みのほか、最新の制度や政策に関する情報などをより速く現場に届けるためのツールとして、「月刊老施協」や「JS-Weekly」のコンテンツをオンライン化した「老施協デジタル」も立ち上げました。
さらに、現場で働く皆さまの疑問やご意見、お悩みなどに対して直接お応えできるサービスとして、スマホアプリ「老施協.com(ドットコム)」を独自に開発し、介護現場と全国老施協が双方向にコミュニケーションを行える仕組みをつくりました。「老施協.com」については、1月1日現在で5,000人以上の皆さまにダウンロードしていただいていますが、今後も皆さまからいただいた貴重なご意見を反映し、日々アップデートを行っていく所存です。

平成30年度に公表した「老施協ビジョン2035」でも掲げていますが、高齢者福祉・介護の仕事の意義とは、介護が必要となった高齢者が「最期の一瞬まで、自分らしく生きられる」よう支援することです。私たち全国老施協の役割は、それを可能とする社会をつくることにあります。
本年もこの姿勢を忘れずに取り組んで参りますので、どうかよろしくお願いいたします。
令和4年1月吉日