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「早わかりガイド最新版」を発行!
こうすれば外国人材受け入れが円滑に進む

2020.9 老施協 MONTHLY


外国人介護人材をめぐっては、EPA(経済連携協定)に基づく「特定活動」に加えて、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号と、介護職員として働いてもらうための各種制度がつくられてきた。ただ、制度はそろったものの、各制度で目的や在留期間、対象者の日本語能力、勤務できるサービスの種類、調整機関などが異なることから、利用するうえでのわかりにくさもある。
全国老施協はこのほど、外国人介護人材の受け入れ・定着に取り組む皆さんの参考になるよう、『外国人介護人材受入れ制度 早わかりガイド2020』を作成した。本特集では、その概要を紹介する。


外国人材受け入れをめぐる新型コロナの影響

日本の介護現場で期待されてきた外国人の就労に、新型コロナウイルス感染症の拡大が影を落としている。特定技能の試験が行えなかったり、技能実習の在留資格を得た外国人が入国制限により来日できなかったりする状況が出てきている。
これに対し出入国在留管理庁は、他職種への再就職を容認し、職を失った外国人らに介護分野などへの就労を促す方針を打ち出し、就労を希望する外国人の申請を取りまとめ、自治体や業界団体を通じて事業者に情報を提供し、マッチングを図る措置を4月から開始した。一般企業にも、国内にいる外国人の在留資格について、留学や技能実習から「特定技能」介護への切り替えをサポートする動きが出ている。
コロナ禍の収束が見通せないなか、慢性的な人材不足に悩む介護の仕事は、外国人材にとっても雇用不安の少ない分野の一つと見られている。この機会に、外国人材受け入れ制度の仕組みや特徴を、しっかりと理解しておきたい。

制度によって異なる在留期間や勤務できるサービス

『外国人介護人材受入れ制度 早わかりガイド2020』(以下『ガイド』)では「4つの制度の特徴を比較してみよう」として、それぞれの受け入れの制度の概要を説明している。(図表1)

EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者、外国人介護福祉士は2国間の経済連携の強化を目的とするものであり、送り出し国は日本とEPA協定を締結したインドネシア、フィリピン、ベトナムに限られる。また、ベトナムは「3年制または4年制の看護課程の修了者」というように、国によって学歴の定めに違いがある。
在留資格「介護」は、専門的・技術的な分野に対する外国人の受け入れを目的とする制度であり、日本の介護福祉士養成施設を卒業した外国人が対象となる。在留資格名は介護福祉士を取得するまで「留学」で、取得後は「介護」となる。
技能実習制度を活用した外国人(技能実習生)は日本から相手国への技術移転による国際貢献を目的とする。外国で同種の業務に就いた経験のある人や技能実習に従事することを必要とする特別な事情がある人が対象だ。
在留資格「特定技能1号」は、介護現場の人手不足をカバーするため、一定の専門性と技術を持つ外国人を受け入れるもので、「日本語能力と介護技術の試験に合格している人」「3年以上の経験がある技能実習生」「4年間従事したEPA」が対象となる。
これら4つの制度ごとに、認められる在留期間や入国時に必要な日本語能力、勤務できるサービスの種類、夜勤の可否などが異なるので、各制度の特徴をよく理解したうえで自施設・事業所に適した制度を検討・利用する必要がある。

それぞれの制度のメリット、デメリットを知っておく

実際に外国人材を受け入れる際に役立ててもらうため、『ガイド』では「受入れに必要な費用項目」や関連する助成制度などの押さえておくべき具体的ポイントも説明している。
まず知っておくべきことは、4つの制度はそれぞれにメリットとデメリットがあることだ。
EPAは「介護・看護の知識や経験を持ち一定の要件を満たす外国人が、日本語の研修を受けた上で入国する」が、一方で「1年間の受入れ上限数が決まっているため、マッチングが難しい」。在留資格「介護」は「介護福祉士の国家資格を取得した後は長期間の就労が可能」だが、「介護事業所が独自に採用活動を行うので確実性が低い」。技能実習は「監理団体による訪問指導・監査があるため相談助言を求めやすい」一方で、その「監理団体の選択が難しい」。特定技能は「介護福祉士の国家資格取得後は、在留資格『介護』に変更し、長期間の就労が可能」だが、「取得できなければ、5年で帰国しなければならない」——といったメリット、デメリットがある。
こうした各制度のメリット、デメリットを踏まえたうえで、制度を検討する必要がある。

知らないまま違反してしまうと懲役や罰金を科されることも

外国人材を受け入れるにあたり、使用者として知っておかなければならないことに、次のような法律・制度がある。
まず、出入国管理及び難民認定法(入管法)の定めにより、在留資格のない人を働かせたり資格外の労働をさせたりすると3年以上の懲役または300万円以下の罰金を科される。必ず「在留カード」で就労制限の有無を確認しなければならない。
また、雇用対策法により、事業主は外国人を雇うときや離職したとき、氏名や在留資格などをハローワークに届け出ることが義務づけられている。労働基準法では、労働者の国籍を理由とした労働条件の差別的取り扱いを禁止している。労働条件を労働者に明示しなければならないため、母国語の書類を用意することが望ましい。
このほか、社会保険(厚生年金保険、健康保険、介護保険)、労働保険(雇用保険、労災保険)は外国人労働者も対象であり、加入する必要があることも知っておきたい。
こうした法律違反には刑罰が科される場合もあるので、困ったときや迷ったときは、関係機関に早めに相談するのが望ましい(図表2)。

外国人材受け入れの現状や今後の採用方針を調査

『ガイド』には、受け入れの現状や会員の声、会員施設の今後5年間の採用方針(在留資格別)なども掲載されている。
そのベースとなったのが、全国老施協の外国人介護人材対策部会が今年4月14日から5月20日にかけて会員施設7763法人を対象として実施した「外国人介護人材に関するアンケート調査」である。調査項目は「外国人介護人材の受入れ現状」「受入れ在留資格種別と今後の採用意向」「技能実習制度に関するヒヤリング」「特定技能制度に関するヒヤリング」「育成と定着の工夫及び課題」「住まいと補助について」「新型コロナウイルスの影響」で、WEBアンケートにより1534事業所から回答を得た(回収率20%)。
主な調査結果は図表3に示したとおりで、回答施設の3割の事業所が外国人を受け入れており、「今後も採用活動を継続する」と回答した事業所が、「EPA(特定活動)」「留学」「技能実習」などで過半数を超えている。
採用数を「現状維持」とした施設のなかにも、増やしたくても介護福祉士との比率、制度上の受け入れ枠、指導員体制、期間満了、事務作業量などの面から増やせないという声が複数あり、減らしたいという声はほぼなかった。

アンケートで集まった会員の生の声も紹介

アンケートでは会員の生の声も集めた。たとえば、EPAについては「採用までに教育されているので、日本語が堪能で、介護に関しても習得が速い」。在留資格「介護」については「留学生を長期休暇のみ雇用。熱意があり、また日本語能力が比較的高いのでコミュニケーションがとりやすかった」。技能実習については「夜勤の業務ができるようになれば増やしたい」。特定技能については「技能実習生としての期間終了後に特定技能への変更を希望している方がいる」——といった声が寄せられている。
新型コロナウイルスの影響については、回答のあった266事業所のうち、「影響あり」と回答したのは210事業所。「技能実習生の入国の目処が立たない」「来日できない状況であり、すでに発生している経費等があり、経費圧迫につながる」などの声があった。
そのほか各制度の課題などにも言及しているので、これから受け入れを検討する施設・事業者にとって参考になるはずだ。

外国人材受け入れの参考は、こちらまで!
『外国人介護人材受入れ制度 早わかりガイド2020』
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外国人介護人材に関するアンケート調査結果