特集

キラリ施設紹介

社会福祉法人野の花会 介護老人福祉施設アルテンハイム鹿児島

2021.11 老施協 MONTHLY

福祉用具の活用を浸透させ安心・安全で質の高いケアに努める

福祉用具を効果的に正しく使いたい――。アルテンハイム鹿児島ではお客様と職員の安心・安全で質の高いケアをめざし、導入後の正しい活用法の教育に力を入れ、効果を上げています。

床走行リフト:お客様にとって、ハンモックのような心地よさ。筋緊張軽減を図ることができる。職員はボタン操作で腰への負担なく移乗が可能/アバターロボットnewme(ニューミー):自らの分身(アバター)として動く遠隔操作ロボット(avatarin 株式会社提供)。離れていても、あたかも目の前にいるような感覚でコミュニケ—ションがとれる。遠隔地の家族との面会に活用している

尊厳ある生活尊重のもと先進的な取り組みを推進

社会福祉法人野の花会は、1987年に鹿児島県加世田市(現南さつま市)に創立され、翌年に特別養護老人ホームの事業を開始しました。現在は南さつま市と鹿児島市で特養のほか、介護老人保健施設、デイサービスセンター、グループホーム、介護付き有料老人ホーム、小規模多機能型施設、訪問介護などを幅広く展開しています。
アルテンハイム鹿児島は、2015年に開設された8階建ての複合施設シルバータウンで、有料老人ホームやデイサービス、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護などが併設されています。

施設らしさのない色鮮やかで広々としたロビー。地域にも開放し、さまざまな催しを行う地域共有スペースとなっている

野の花会では開設当初より、抑制・拘束のない認知症介護や身体挿入のチューブを外すための口腔ケアや嚥下食リハビリ、「日中オムツゼロ」の実現など、さまざまな取り組みを先駆的に行ってきました。
理事長の吉井敦子さんは「当法人では、進取的に取り組みを行い、その一環として、お客様とそれを支えるスタッフに負担のない安心・安全でスマートな介護の実現をめざし、介護ロボットや先端技術の導入も積極的に進めています」と話します。

社会福祉法人野の花会理事長の吉井敦子さん/施設長の牧元里恵子さん/介護福祉士の鮎川真吾さん/理学療法士の新 智哉さん

介護福祉士の鮎川真吾さんは「移乗や入浴、ベッドでの体位変換などの業務が、職員の腰痛やお客様の痛み・緊張などの要因となっていました。そのため、各事業所にスライディングシートやスライディングボード、床走行リフトなど、移乗をサポートする6種類の福祉用具を導入しました」と説明します。
しかし、導入された福祉用具はあまり活用されず、倉庫に仕舞われたままの状況が続きました。原因としては「正しい使用法がわからない」「習得や装着に時間がかかるので、今までのやり方のほうが早い」「使用する目的が共有されていない」などが挙がりました。
そこで、こうした問題を解決すべく、専門の講師を東京から招き、研修会を実施することになったのです。

介護老人福祉施設アルテンハイム鹿児島の取り組み

研修会に工夫を凝らし全職員に使用法が浸透

研修会は17年に、福祉技術研究所の代表取締役、市川洌氏を講師として始まりました。当初は全職員が講義形式で学習していましたが、なかなか福祉用具の活用実績は上がらず、かえって職員の負担となっていました。
市川氏の助言のもと見直しを行い、月に1回2日間、法人の各事業所から2人の職員が固定で参加。各事業所の職員への伝達は必ず研修を受けた2人が行い、単に口頭で伝えるだけでなく、1対1で福祉用具を使用する側と使用される側の両方を体感する形で教えるようにしました。こうした方式に変えることで、以前より時間はかかるものの、全職員が確実に使用方法を学ぶことができるようになりました。
福祉用具を使用しやすい環境も整備しました。スライディングシートは全職員が常に携帯できるようにするための必要数を購入し、スライディングボードや床走行リフトはお客さまの部屋の近くに設置するようにしました。

研修会には、法人内4 事業所から職員2人ずつ参加。福祉用具の特性や正しい使い方、職員への指導方法を学ぶ/スライディングボード:ベッドから車いすへの移乗の際に、少し挟み込むだけで簡単に使用できる

こうした見直しを継続していった結果、2年かけて職員に使用法が浸透し、福祉用具の活用も定着していきました。鮎川さんは、福祉用具を使いこなせるようになったことで、職員の意識も徐々に変わっていったといいます。
「職員の腰痛やお客様の不安感が目に見えて減少しました。リフトへの移乗を拒否されていたお客様も、移乗時の痛みが軽減され安心感が得られることで、介助拒否がなくなりました。福祉用具を使用すれば、質の高いケアをこれまでより楽に提供できるという成功体験を重ねたことで、福祉用具に対する職員の意識が向上し、学ぶ姿勢もより積極的になりました。職員の離職率も法人全体で減少しています」
活用する福祉用具は現在、6種類から14種類へと増えています。車いすも細かい調整ができるものを選定し、背張りや奥行調整、後輪の位置調整を行うことで、お客様の姿勢改善につながっています。その結果、表情が明るくなり、覚醒状態もより安定し、食べこぼしが減るなどADLの改善も見られています。
理学療法士の新智哉さんは「福祉用具は高価なため、簡単には増やすことができませんが、できるだけ職員の意見を尊重して計画的に購入しています」と話します。福祉用具・介護ロボットに関する委員会を介護リーダーを中心に立ち上げ、必要な機器の種類や数などを毎月検討し、購入担当の本部と交渉しているそうです。「職員が正しい使用法を習得した後も自己流にならないために、研修を受けた2人が定期的にチェックするとともに、1年ごとにチェックシートで習得度を確認しています」

「真心と優しい手」でお客様の気持ちに寄り添う

同施設では、日々の介護業務の効率向上をめざし、音声入力により介護記録が作成できる機器の導入も進めているほか、コロナ禍で面会が難しくなった遠隔地の家族とできるだけ違和感なく面会ができるアバターロボットも導入しています。
施設長の牧元里恵子さんは「当施設は、最先端の介護に憧れて入職を希望する若手職員が多くいます。今後、お客様とのコミュニケーションの大切さを踏まえながら、新たな発想での介護に取り組んでほしいと期待しています」と話します。
吉井さんも「福祉用具や介護ロボットはあくまでも職員の介護を助ける道具。私たち介護職員はそれに人間の『真心と優しい手』をプラスして、お客様の気持ちに寄り添うことを忘れてはなりません。そのことを常に職員に伝えていきます」と強調します。

キラリスタッフの声 深川直人さん/内匠菜月さん

社会福祉法人野の花会 介護老人福祉施設 アルテンハイム鹿児島

社会福祉法人野の花会
介護老人福祉施設 アルテンハイム鹿児島

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