特集

キラリ施設紹介

社会福祉法人松風会 ケアハウス サンライフ・カドタ

2021.10 老施協 MONTHLY

認知症の人が安心して暮らせる施設に向けて、職員教育等に注力

いつまでも自立した生活が送れるよう、入居者の健康維持に尽力。認知症の人でも安心して暮らせる施設をめざしています。

いつまでも自立した生活が送れるよう、入居者の健康維持に尽力。認知症の人でも安心して暮らせる施設をめざしています。

変わらない美しさを職員一丸となって維持

岡山市中区にある社会福祉法人松風会は、ケアハウスの運営を目的に1996年に設立されました。翌年に居室48室(定員50人)の「ケアハウス サンライフ・カドタ」をオープンし、通所介護、訪問介護、居宅介護支援事業所を併設。今日まで、同地で福祉・介護を必要とする人たちが心身ともに健やかに生活し、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が得られるよう、生活支援・介護などのサービスを総合的に提供し続けています。
作業療法士で2年前に同施設に入職した施設長の楢原伸二さんは、開設当初に外部の訪問リハ職として同施設に関わっていたそうです。「2年前に二十数年ぶりに戻ってきたら、タイムスリップしたような気分になりました。外観は年月を感じても、中に入るとオープンした当時のままのようにきれいでした」と振り返ります。
その理由は、小さな法人なので清掃を外部委託するのが難しく、全職員が一丸となって常に開設当初の美しさの維持に努めていることにあります。

毎日、朝と夕方に職員全員で時間をかけて掃除を行い、大掃除も1年間に3回実施しています。それを続けるには職員の絶え間ない努力と協力が不可欠で、特に真夏と真冬は厳しいとのこと。「何事も入居者の方々の立場に立ち、その住まいは我々が生活している家と同じだということを職員全員が自覚することが必要です」
来所する人から「本当にここはいつもきれい」という声を聞くと、充実感が生まれ、モチベーションの維持につながっているそうです。

施設長-相談員

同施設では、管理栄養士2人を含む8人のスタッフで給食も自前で提供しています。「費用がかけられないなか、工夫しながらメニューを考えているので、デイサービスの利用者の方からもおいしいと好評です」と、楢原さんは満足そうに話します。専門的な観点から嚥下障害のある人や認知症の人に配慮した食事も提供しています。

メニュー

さまざまな専門職を配置し入居者の健康維持に注力

入居者は自立しているのが原則ですが、高齢化が進展するなか、必ずしも健康で元気な人ばかりというわけにはいかない現実があります。実際、同施設でも入居者の約7割が要介護認定を受けているといいます。「高齢者は何もしなければ健康状態が悪くなっていく一方です。最近は、健康管理と介護予防を徹底していかなければいけない時代になっています。人員基準はありませんが、看護師、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、管理栄養士といった専門職を配置し、可能な限り入居者様の健康をしっかりと守っていけるよう努めています」と、楢原さんは説明します。
入居者の健康管理に向けて、楢原さんはリハ職の視点から、週2回、レベルを分けて介護予防教室を開催しています。「現状を正確に把握したうえで、しっかり健康状態を維持していけば、病気になる確率も減ります。健康でいきいきと暮らすために何ができるか、常に考えながら取り組んでいます」

また、「今の時代、運営側が望んでいるような入居者様ばかりではケアハウスは成り立たない」と考える楢原さんは、認知症のある入居者の受け入れにも力を入れています。自身も、20年にわたりライフワークとして認知症に取り組んできました。
その一環として毎週、職員向け勉強会を実施しています。内容は認知症だけでなく、「自立支援に向けてのリハビリテーションの視点」「嚥下障害について」「脳血管障害について」など多岐にわたります。
「認知症への対応で大事なのはアセスメントです。対応法は10人いれば10人とも違うので、これが良いという決まったものはありません。その場その場で、どれだけ認知症の人の様子を見て対処することができるかです」と、楢原さんは認知症の特徴などをしっかり踏まえた柔軟な関わり方を学ぶ機会が重要だと強調します。
「認知症の人への関わり方がわかれば、仕事に対する意識が上がり、成果も上がります。自分のやっていることが正しいと理解できることが大切で、やった成果が目に見えてわかったときほど仕事にやりがいを感じることはありません。その楽しさを周囲にも伝えていきたいですね」

取り組み

入居対象者の幅を広げ地域と一体となった施設へ

同施設には、元放浪生活者だった入居者がいます。路上生活者向けに炊き出しを行っていたNPO法人から連絡を受けた司法書士から相談をされ、入居することになりました。もともと労働意欲はあったものの、ギャンブル依存の傾向などにより生活に支障が出ていましたが、入居後に職員の支援のもとで生活を立て直し、ギャンブルも断つことができました。
担当した生活相談員の末澤拓也さんは、ケアハウスの入居対象者の幅を広げるための取り組みとして、この事例を「社会的支援を要する高齢者の受け入れ」と題して令和元年度全国老人福祉施設研究会議(愛媛会議)で発表し、奨励賞を受賞しました。「ケアハウスの入居対象をどうするか、対象者の幅を広げていくにはどうしたらいいかを考えるうえで、こうしたケースもあるということを発表することに意義を感じました。そのことが認められてうれしく思います」と喜びを表します。
同施設の今後について、楢原さんは「ケアハウスにとって、入居者様が少しでも長く健康を維持し、ご家族の協力や介護保険を利用しながら、自分らしく生活していけるのが理想です。それを踏まえ、地域に根ざし信頼される施設として、つながりをどう深めていくかを、これから考えていきたいです」と抱負を語ります。

スタッフの声

社会福祉法人松風会ケアハウス サンライフ・カドタ

社会福祉法人松風会ケアハウス
サンライフ・カドタ

一般型(定員50人)
〒703-8275 岡山市中区門田屋敷4-5-13
TEL:086-273-1123 FAX:086-273-1314
http://syoufuukai.jp