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新単位&加算が決定!令和3年度介護報酬改定ポイント総チェック

2021.3 老施協 MONTHLY

令和3年度介護報酬改定については、関係告示のパブリックコメントも終了した。今後、介護報酬に係る告示・通知を経て、4月から改定内容が実施される。先月号に続き、本特集では、短期入所生活介護、居宅介護支援、訪問介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、および介護職員の処遇改善についてポイントを解説する。

今号では、前号の介護老人福祉施設と通所介護の改定事項に続き、短期入所生活介護、居宅介護支援、訪問介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護に関する令和3年度介護報酬改定の主な事項と新たな報酬単位を取り上げる。あわせて、介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組みの推進についての改定事項も紹介する。
改定事項のなかには複数のサービスに共通するものがある。たとえば通所系、多機能系、居住系では共通して口腔・栄養スクリーニング加算が設けられた。また、介護療養型医療施設を除く施設系、通所系、多機能系、居住系については、科学的介護推進体制加算(事業所のすべての利用者に係るADL、栄養、口腔・嚥下、認知症等のデータをLIFE(旧CHASE)に提出し、フィードバックを受け、事業所単位でのPDCAサイクル・ケアの質の向上の取り組みを推進することを評価)が新設された。
さらに、感染症対策の強化や無資格者への認知症介護基礎研修受講の義務づけなど、全サービスに共通する改定事項もある。これらは前号でまとめているので、あわせて参照していただきたい。

1 短期入所生活介護の改定事項

見守り機器導入で夜勤職員配置加算を見直し

他のサービス等と共通する改定事項に、看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実(小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、認知症対応型共同生活も同様)や生活機能向上連携加算の見直しがある。また、特養等と同様に食費の基準費用額が見直され、1,392円/日が1,445円/日とされた。このほか短期入所生活介護の改定事項には、次のようなものがある。

災害への地域と連携した対応の強化

非常災害対策が求められる介護サービス事業者(短期入所系、通所系、特定、施設系)は訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならないこととされた。

通院等乗降介助の見直し

短期入所系・通所系の事業所から病院等への移送といった目的地間の移送に係る乗降介助に関して、同一の事業所が行うことを条件に通院等乗降介助を算定可能とする。

個室ユニットの定員上限の明確化

ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着をめざしユニットケアを推進する観点から、1ユニットの定員について、現行の「おおむね10人以下としなければならない」を「原則としておおむね10人以下とし15人を超えないもの」とする。

計画作成や多職種間会議でのリハ、口腔、栄養専門職の関与の明確化

加算の要件とされる計画作成や多職種間会議に、リハ専門職・管理栄養士・歯科衛生士が必要に応じて参加することが明確化された(訪問リハ、通所系、多機能系、居住系、施設系も同様)。

外部のリハ専門職等との連携による介護の推進

外部のリハ専門職等との連携による自立支援・重度化防止に資する介護を図る生活機能向上連携加算について、訪問介護等と同様にICT(情報通信技術)の活用等により外部のリハ専門職等が事業所を訪問せずに利用者の状態を把握・助言する場合の評価区分(生活機能向上連携加算(Ⅰ))を新たに設ける。

見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の見直し

見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の人員配置要件について、次の見直しを行う(図表3)。
①現行の0.9人配置要件の見守り機器の導入割合の要件を緩和(現行15%を10%)。
②新たに0.6人配置要件を新設。
介護老人福祉施設についても、見守り機器やインカム等のICTを導入する場合における夜間の人員配置基準が緩和されるが、併設型短期入所生活介護(従来型)も同様の緩和が行われる。
②の0.6人配置には、夜勤職員全員がインカム等のICTを使用していること、安全体制の確保や職員の負担軽減等が必要となる。

図表1 短期入所生活介護の基本報酬
図表3 見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の見直し(介護老人福祉施設、短期入所生活介護)

2 居宅介護支援の改定事項

ケアマネジメントについて見直しを実施

事務の効率化による逓減制の緩和や生活援助の訪問回数が多い利用者等のケアプランの検証などケアマネジメントのあり方の見直しがポイントになった。

特定事業所加算の見直し

特定事業所加算において、事業所間連携により体制確保や対応等を行う事業所を新たに評価する。現行の特定事業所加算(1)(Ⅱ)(Ⅲ)の単位数を増やし、特定事業所加算(A)を新設する。特定事業所加算(Ⅵ)は「特定事業所医療介護連携加算」とする。

事務の効率化による逓減制の緩和

適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ経営の安定化を図る観点から、逓減制において、ICT活用または事務職員の配置を行っている場合の適用件数を見直す(逓減制の適用を40件以上から45件以上とする、図表2)。

医療機関との情報連携強化

医療機関との情報連携強化として、利用者が医療機関で診察を受ける際に同席し、医師等と情報連携を行い、当該情報を踏まえてケアマネジメントを行うことを新たに評価する(通院時情報連携加算)。

生活援助の訪問回数が多い利用者等のケアプランの検証

評価の適正化・重点化として、生活援助の訪問回数が多い利用者のケアプランの検証の仕組みについて、実施の状況や効果を踏まえて、ケアマネジャーや市町村の事務負担にも配慮し、届出のあったケアプランの検証や届出頻度について次のような見直しを行う。
①検証の仕方について、地域ケア会議のみならず、行政職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等での対応を可能とする。
②届出頻度について、検証したケアプランの次回の届出は1年後とする。
より利用者の意向や状態像に合った訪問介護の提供につなげることのできるケアプランの作成に資するよう、検証方法として効率的で訪問介護サービスの利用制限につながらない仕組みが求められていることを踏まえ、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占めるケアプランを作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入する(10月から施行)。

サ高住等における適正なサービス提供の確保

同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する利用者のケアプランについて、区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合、併設事業所の特定を行うとともに、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行う(10月から施行)。
また、指導監督権限を持つ自治体によるさらなる指導の徹底を図る。

図表2 居宅介護支援の基本報酬

3 訪問介護の改定事項

サービスの質向上がさらに求められることに

認知症専門ケア加算の創設や訪問入浴介護の充実、サービス提供体制強化加算における介護福祉士が多い職場の評価の充実など、サービスの質の向上を求める改定事項が並ぶ。

認知症専門ケア加算の訪問サービスへの拡充

訪問介護について、介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、訪問系サービスに認知症専門ケア加算を創設する(訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護も同様)。

看取りへの対応の充実

看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、2時間ルール(2時間未満の間隔のサービス提供は所要時間を合算すること)を弾力化し、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。現行ではそれぞれの所要時間を合算して報酬を算定しているが、所要時間を合算せずに、それぞれの所定単位数を算定することにする。

通院等乗降介助の見直し

訪問介護の通院等乗降介助について、利用者の負担軽減や利便性向上の観点から、居宅が始点または終点となる場合の目的地間の移送についても通院等乗降介助を算定可能とする。
また、目的地が複数ある場合も、居宅が始点または終点となる場合には、その間の病院等から病院等への移送も算定可能とする。

サービス提供体制強化加算における介護福祉士が多い職場の評価の充実

特定事業所加算(Ⅴ)を新設する。算定要件は次の通りとなる。
①体制要件(特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)と同様)
・訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施
・利用者に関する情報またはサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催
・利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告
・健康診断等の定期的な実施
・緊急時等における対応方法の明示
②人材要件
・訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること。

サ高住等における適正なサービス提供の確保

定期巡回・随時対応型訪問介護看護を除く訪問系等について、事業所と同一の建物に居住する利用者にサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うよう努めることとされた。

図表4 訪問介護の基本報酬

4 認知症対応型共同生活介護の改定事項

職員の負担等に留意し、夜勤職員体制を緩和

通所介護と同様に感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合の特例措置が設けられた。また、特養等と同様にADLを良好に維持・改善する事業者を高く評価する評価区分が新たに設けられ、人材の有効活用を図る観点から夜勤職員体制の要件も緩和された。あわせて短期入所生活介護等と同様、生活機能向上連携加算も見直されることになった。

認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実

看取り介護加算について、算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間(死亡日前45日前から)の対応について、新たに評価する区分を設ける。

緊急時の宿泊対応の充実

利用者の状況や家族等の事情により、介護支援専門員が緊急の利用を必要と認めた場合等を要件とする定員を超えての短期利用の受け入れ(緊急時短期利用)について、地域における認知症ケアの拠点として在宅高齢者の緊急時の宿泊ニーズを受け止めることができるようにする観点から、次の要件の見直しを行う。
①人数は、現行の「1事業所1名まで」を「1ユニット1名まで」に。
②日数は、現行の「7日以内」を「7日以内を原則として、利用者家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14日以内」に。
③部屋については、現行の「個室」を「概ね7.43㎡/人で、プライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえ」が確保される場合には、個室以外も認める。

地域の特性に応じた認知症グループホームの確保

地域の特性に応じたサービスの確保のためユニット数を弾力化し、現行の「原則1または2、地域の実情により事業所の効率的運営に必要と認められる場合は3」を「1以上3以下」に。また、サテライト型事業所も創設し、本体事業所と異なる主な基準は次の通りとする。
①本体事業所との兼務等により、代表者、管理者を配置しないことが可能。
②介護支援専門員ではない認知症介護実践者研修を修了した者を計画作成担当者として配置することが可能。
③サテライト型事業所のユニット数は、本体事業所のユニット数を上回らず、かつ、本体事業所のユニット数との合計が最大4までとする。

口腔衛生管理や栄養ケア・マネジメントの強化

管理栄養士が日常的な栄養ケアに係る介護職員への技術的助言や指導を行うことを算定要件とする栄養管理体制加算を新設する。

3ユニットの認知症グループホームの夜勤職員体制の緩和

夜勤職員体制(現行1ユニット1人以上)について、利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合に一定の要件の下、例外的に夜勤2人以上の配置を選択することを可能とする。あわせて、3ユニット2人夜勤の配置にする場合の報酬を設定する。ただし、利用者の安全確保や職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)をとっていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できることとし、事業所が夜勤職員体制を選択することを可能とする。加えて、3ユニット、かつ、夜勤職員を2人以上3人未満に緩和する場合、別途の報酬を設定する。

外部評価に係る運営推進会議の活用

認知症グループホームの「第三者による外部評価」について、自己評価を運営推進会議に報告し、評価を受けたうえで公表する仕組みを制度的に位置づけ、既存の外部評価によるいずれかから外部評価を受けることとする。

図表5 認知症対応型共同生活介護の基本報酬
図表6 小規模多機能型居宅介護の基本報酬

介護報酬改定ポータルページ

5 小規模多機能型居宅介護の改定事項

中山間地域等におけるサービスの充実

小規模多機能型居宅介護については、市町村が認めた場合に登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間行わないことを可能とするなど、地域の特性に応じた小規模多機能型居宅介護の確保をめざす改定となった。

認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設

緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設する。具体的には、医師が、認知症の行動・心理症状が認められるため、在宅での生活が困難であり、緊急に短期利用居宅介護を利用することが適当であると判断した者に対し、サービスを行った場合は、利用を開始した日から起算して7日間を限度として1日につき200単位を所定単位数に加算できる。

緊急時の宿泊対応の充実

緊急時の宿泊ニーズに対応する観点から、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の事業所の登録定員に空きがあること等を要件とする登録者以外の短期利用(短期利用居宅介護費)について、登録者のサービス提供に支障がないことを前提に、宿泊室に空きがある場合は算定可能とする。

離島や中山間地域等におけるサービスの充実

小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、看護小規模多機能型居宅介護について、離島や中山間地域等の要介護者に対する介護サービスの提供を促進する観点から、中山間地域等に係る加算の対象とする。

過疎地域等への対応

多機能系サービスに共通して、市町村が認めた場合に過疎地域等において登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間行わないことを可能とする。
また、令和2年提案を踏まえ、小多機の登録定員等の基準を「従うべき基準」から「標準基準」に見直す。

特養との併設の場合の兼務等の緩和

広域型特別養護老人ホームまたは介護老人保健施設と小規模多機能型居宅介護事業所を併設する場合、入所者の処遇や事業所の管理上支障がなければ、管理者・介護職員の兼務を可能とする。

6 介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取り組みの推進

処遇改善加算と特定処遇改善加算を見直し

特定処遇改善加算は制度の趣旨は維持しつつより活用しやすい仕組みとする観点から見直し、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)は上位区分の算定が進んでいるため廃止することとされた。

特定処遇改善加算の介護職員間の配分ルールの柔軟化による取得促進

特定処遇改善加算での平均の賃金改善額の配分ルールにおける「経験・技能のある介護職員」について、「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」というルールを「より高くすること」に見直す(図表7)。

職員の離職防止・定着に資する取り組み

職場環境等要件に定める取り組みについて、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取り組みがより促進されるように見直す。
また、これらの取り組みについて、「過去の取り組み実績」ではなく、「加算を取得する当該年度の取り組み」のみを実績として認める方向へ見直す。
・職員の新規採用や定着促進に資する取り組み
・職員のキャリアアップに資する取り組み
・両立支援・多様な働き方の推進に資する取り組み
・腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取り組み
・生産性の向上につながる取り組み
・仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取り組み

サービス提供体制強化加算における介護福祉士が多い職場の評価の充実

サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する観点から、サービス提供体制強化加算に、より介護福祉士割合や勤続年数の長い介護福祉士の割合が高い事業者を評価する新たな区分を設ける。
訪問介護と訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護の特定事業所加算とサービス提供体制強化加算について、勤続年数が一定以上の職員の割合を要件とする新たな区分を設ける。

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)の廃止

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)は廃止する。ただし令和3年3月末時点で算定している介護サービス事業者には1年の経過措置期間を設ける(図表8)。

図表7 特定処遇改善加算の介護職員間の配分ルールの柔軟化による取得促進
図表8 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)の廃止