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チームのチカラ

【INTERVIEW】なかむらアサミ/サイボウズ株式会社 チームワーク総研 シニアコンサルタント

2021.3 老施協 MONTHLY

「チーム力」が求められる介護の現場。今回は、製品を通して企業のチーム力向上への貢献をめざすサイボウズ株式会社・チームワーク総研のなかむらアサミさんに、成果を上げるチームづくりの秘訣などについて聞きました。


良いチームをつくる条件は5つ
まず「理想」を共有することが重要

チームがワークするために必要な5つの条件 ①理想をつくる ②役割分担する ③コミュニケーションする ④情報を共有する ⑤モチベーションを上げる

理想に向けた協働がチームワークの原点

我が社の理念は「チームワークあふれる社会を創る」。そのなかで「チームワーク総研」は、チームワークを専門的に研究し、さまざまな団体や企業に向けてチームづくりについての研修や講演を行う活動をしています。
私たちは、チームとは「理想(目標)を達成するための集団」と捉えています。電車に乗り合わせた人同士のような「単なる集団=グループ」とは異なり、「県大会で優勝する」「年間○○円の売り上げを上げる」「利用者に良いケアを提供する」といった理想をかなえるために協働する集団が、チームなのです。

それでは良いチームワークとはどのようなものでしょうか。私たちは、チームをきちんとワーク(機能)させるための要素として、①理想をつくる、②役割分担する、③コミュニケーションする、④情報を共有する、⑤モチベーションを上げる——という5つが必要だと考えます。

①の理想をつくるためには、スタッフがよく話し合い、メンバー全員が「腹落ちする(納得できる)」まで仕事上の理想のゴールを話し合うことが重要です。理想は、実現不可能なものや、リーダーが一方的に決めるものであってはなりません。介護施設の場合、「利用者に良いケアを提供すること」が理想だとしても、職員一人ひとりにとっての「良いケア」は違うはず。それを言語化し、伝え合うことが大切です。これを行うことで職員の意思統一が図られ、やる気にもつながっていきます。

②の役割分担では、それぞれの立場で理想にどのように近づけるかが鍵になります。リーダーはメンバーの得意や不得意を考えたうえで、適材適所を心がけます。

③のコミュニケーション、④の情報共有では、リーダーはそれぞれの職員に向いているコミュニケーションの方法を吟味すべきです。介護記録などのツールでの情報共有、実際に話し合うなど、相手が受け入れやすいやり方で構いません。気が張っている仕事中のみならず、休憩時間を利用するなど、気軽に話せる場を設けてもよいでしょう。環境が変わることで案外、的を射た話ができることもあります。

⑤のモチベーションを上げるためには、リーダーが各職員に対し「どうなりたいか」を聞き、その目標に対してサポートを行うことが重要です。スキルを学んで「できること」が増えていくと、利用者から「ありがとう」を言われる機会も増すわけで、職員のモチベーションは高まっていきます。

介護職はもっと自分のことを考えるべき

現在の介護職の皆さんの仕事を考えるとき、チームワークや働き方を研究してきた立場からいうと、少し危惧も感じます。利用者のためにと一生懸命に働くあまり、自身を省みる時間があまりとれていないのではないか、ということです。つい自分のことが後回しになり、消耗してしまったら元も子もありません。たまには自分のことを考える時間を持つようにしてください。
自分が無理なく働くことが、ひいては利用者のためにもなると思います。心身ともに万全な状態で働ける環境をつくることも大切です。

なかむらあさみ

なかむら・あさみ
サイボウズ株式会社 チームワーク総研シニアコンサルタント。
法政大学大学院経営学研究科キャリアデザイン学専攻修了。経営学修士。教育、IT企業で人事を担当し、2006年、サイボウズ株式会社に入社。人事、広報、ブランディングを担当する。現在は、小学生から社会人まで幅広い層にチームワークを教える活動に取り組み、研修実績多数。青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー育成プログラム26期生。著書(共著)に『わがままがチームを強くする。』(朝日新聞出版)、『サイボウズ流 テレワークの教科書』(総合法令出版)がある