特集

チームのチカラ

【INTERVIEW】大畑大介/一元ラグビー日本代表

2020.6 老施協 MONTHLY

他職種や地域との連携がより一層求められている介護業界。その実現に必要なのは“チーム力”。元日本代表の大畑大介氏に、“勝てる集団”のつくり方を伺いました。


強いチームに必須なのは、リーダーの「明確なビジョン」
全員で勝とうとする姿勢がかなめ

チームのなかに「何でも聞ける」空気を

ラグビーにおいて強いチーム、勝てるチームをつくるためには、まずリーダーがメンバーに「明確なビジョン」を与えることが重要です。たとえば、昨年のラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表のヘッドコーチを務めたジェイミー・ジョセフ氏が唱えたビジョンは「世界ベスト8進出」でした。結果として日本チームは大躍進を遂げビジョンをかなえたわけですが、それはひとえに、リーダーのめざすゴールへ選手・スタッフが、まさに『ONE TEAM(ワンチーム)』で進んでいけたからです。
もちろん、ただ単にビジョンを掲げるだけでは到底そこには近づけません。チームの現状を踏まえたうえで、必要な練習や戦術、一試合ごとのモチベーションを細かくつくっていくこともポイントではないでしょうか。それらを重層的にチームに課すことで、史上初の快挙を成し遂げることができたのだと思います。
ただ、その際に注意すべきなのが、リーダーの唱える「ビジョンの方向性」です。「組織や選手、勝利のため」といった、それぞれの立場で共感できる指針となっている分には良いのですが、そのビジョンが「自分の言うことを聞け」「俺が正しい」といった利己的なものであったら台無しです。そうしたリーダーが率いる集団はいずれ機能しなくなるでしょう。
一方、選手が心がけるべきことは、リーダーのビジョンを踏まえたうえで、「そのために何ができるか」といった、自分の役割を考えることです。そして、その役割が果たせるよう自分を100%の状態にもっていくことが望ましい。ただし、その場合には、チームのなかに、自分の役割を掴めていない者がいるかもしれないこともわかっておくこと。そうした選手が周りに気軽にアドバイスを仰ぐためにも、リーダーはチームのなかに「何でも聞ける空気」をつくっておくべきです。これはラグビーに限らず、職場や介護現場においても大事なことだと思います。

各々の持ち場で輝くことがチーム力を高める

リーダーのビジョンに対し、各々が役割を意識した後は、集団に属する全員がそれぞれの持ち場で全力を尽くすことが必要です。ラグビーには、「体が大きい」「足が速い」「力が強い」などさまざまな個性の選手がいます。そして、それらの個性とポジションの特性を組み合わせることで、チームに無限の可能性が生まれる点が面白いところだといえます。それと同じく、介護の現場でも、それぞれのメンバーなりの取り組み方があるような気がします。
ラグビーでは、たとえ試合に出られずとも、勝利への熱い気持ちでチームに貢献できる選手はいくらでもいます。要は、脚光が当たる当たらないにかかわらず、それぞれの選手が各々の持ち場でいかに輝けるかが鍵となります。それができる環境を整え、全員の意思を統一することが、勝てる組織をつくる秘訣なのではないでしょうか。

おおはた・だいすけ
1975年、大阪市生まれ。東海大学付属大阪仰星高等学校、京都産業大学を経て、98年神戸製鋼ラグビー部に入部。99年、2003年のW杯に出場し、日本代表58キャップ。11年引退。16年11月、国際統括団体ワールドラグビーが、競技の発展に著しい貢献をした個人や団体を顕彰する「ラグビー殿堂」に選出。現在もなお国際試合トライ数の世界記録保持者